NTTデータ経営研究所、震災前後のテレワーク実施状況や意識を調査

必要性を感じている人は半数以上


 株式会社NTTデータ経営研究所は5日、「東日本大震災後と柔軟なワークスタイル」に関する調査結果を発表した。gooリサーチ登録モニターで、99人以下~5000人以上の従業員規模の企業に勤務する一般社員を対象に、非公開型インターネットアンケートを実施した。有効回答者数は1015人。

 テレワークの実施状況としては、震災以前から制度を整備・実施している企業は10.6%、上司や個人の裁量で実施している企業は3.2%、震災直後から実施している企業は3.8%、震災1カ月後から実施している企業は2.5%と徐々に増加し、全体で2割にのぼった。資本別では日系企業が13.1%、外資系企業が45%という結果となった。

 また、震災前後でテレワークを実施していた2割の企業のうち、計画停電や交通混乱の状況の中で、テレワークを支障なく実施できた企業は7割を超えた。

 夏場の電力削減や震災などの備えとして、テレワークの必要性を感じている人は従業員500人以上の企業で半数を超え、5000人以上では6割を超えた。また、テレワーク実施企業では必要性を感じるとする従業員が75.9%を占め、未実施企業の46.3%と大きく差が開いた。

 東京電力・東北電力管内に事業所を持つ企業に対して、夏場の節電目標を聞くと、65%の企業が15%前後の節電目標を設定していた。特に従業員5000人以上の企業では「節電目標10%以上」が88.2%にのぼった。従業員数が多いほど対策の具体化も進んでおり、5000人以上の企業では、67.6%で施策の検討、効果の試算(予定も含む)まで済んでいた。

 一方、中小企業では取り組みに遅れも見られ、従業員数99人以下の企業では、「節電目標10%以下」が54.1%と半数を超え、効果の試算を終えている企業も20.3%にとどまった。

 具体的な対策として最も広く検討されているのは「クールビズ」で54.3%。次いで「所定外労働の削減」(25.3%)、「LEDなど省エネ機器の拡充」(23.3%)と続く。業種によっては、休日や勤務時間を変更するなど対策に特徴が見られた。また、高い節電目標を掲げる企業では、休暇の増加やオフィスの閉鎖など、多様なワークスタイル変更を検討していた。

 柔軟なワークスタイル実現に向けて、最も実施率が高かったのは「チャットツールの利用」で47.2%。次いで「ペーパーレス化」(39.8%)、「社員の所在安否」(34.9%)、「知識・情報共有」(33.9%)と続く。

 また施策の有効性を尋ねると、支持率が高かったのは「知識・情報共有」で、「有効である」という回答が75.1%にのぼった。次いで「ペーパーレス化」(74.4%)、「テレビ・Web・電話会議」(70.9%)などが70%以上の高水準で続く。

 一方、課題の第1位は「予算の確保」で68.4%。次いで「知識、技術をもった人員の不足」(67.9%)、「情報の漏えい、改ざんリスクへの不安」(67%)と続く。

 柔軟なワークスタイルを実現するために必要な組織環境としては「会社と社員が相互に信頼し、社員同士も支えあう組織文化の創造」「震災を機に、働き方や休暇の取得(ワーク・ライフ・バランス)など、仕事と生活全般のあり方を見直す機運を高め、 環境整備を行う」「都市や地域を問わず、自分が住みたい地域で暮らし、仕事ができるしくみ・環境づくりを行う」などが上位となった。

 また社員のスキル・能力については、「指示がなくても自律的に動ける力」 が最も多く6割以上を占め、次いで「自分一人でタイムマネジメントできる力」「主体的に周囲に働きかけ、 仕事を進めることができる業務遂行力」が必要という認識だった。

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(川島 弘之)
2011/7/6 06:00