震災後の注目キーワードは「事業継続」「節電」「復興支援」~NTTデータ

ユーザーニーズや自社の節電への取り組みなどを説明


執行役員 基盤システム事業本部長の遠藤宏氏
地震自体は想定されていても、大規模停電は事業継続の想定外

 「震災後には、『事業継続』『節電』『復興支援』といったキーワードが大きく注目されてきた。これらをきっかけにクラウドの導入も増えている」――。株式会社NTTデータは27日、クラウドサービス「BizXaaS」の最新動向に関する説明会を開催。その中で、執行役員 基盤システム事業本部長の遠藤宏氏は、その動向をこのように説明する。

 遠藤本部長が挙げたキーワードのうち「BCP」では、「リスクとして地震を想定している企業は多いものの、大規模停電については重きを置いていなかった」(遠藤氏)ため、いざ停電になったらどうするのかという観点から、データセンターへのシステム移設ニーズが、急速に高まっているのだという。

 このニーズには2つのケースがあり、1つは、オフィス内にサーバールームを持っていた顧客が、首都圏など近場のデータセンターへ移設を図るケース。そしてもう1つが、電力事情の悪い東京電力管内を避けて、あるいはディザスタリカバリ(DR)サイトの構築を目的として、関西や国外(主にアジア)のデータセンターを活用したいというケースで、特に後者では今回の電力規制や停電への対策だけでなく、根本的にBCPやDRを考えている顧客も多いのだという。

 NTTデータではこうした動きに対応するため、首都圏のみならず西日本のデータセンターを活用。さらに、アジアを初めとする海外で、NTT Comが展開しているリソースを活用し、NTTグループの連携のもとで事業を進め、高まるデータセンターやクラウドへのニーズに対応してきたと説明した。

 クラウドサービスとしては、例えば、デスクトップを仮想化してデータセンターから配信し、オフィスの事業継続や節電などに効果的なDaaSも、がぜん注目を集めるようになっている。ただし、導入の先にある利用の仕方、範囲についてはまだまだ見極めが必要な状態で、これについて遠藤本部長は、「オフィスの環境もITシステムの進化に伴って使い方、ワークスタイルそのものも変わっているが、現実には運用も伴うため、そう簡単にはいかない。実情にあわせた調整も必要であり、落ち着くには少し時間がかかるかなと思っている」と話し、本格的な活用法の確立までにはもう少し時間が必要との見方を示した。

 それでも、「グローバルやアウトソーシングといったキーワードへの関心は高まってくるだろう」という点もあらためて指摘。運用を含めたシステムのあり方は間違いなく高まってくるとの方向性を強調している。


BCP/DRのためのデータセンター震災後の事業継続に対する反応
NTTデータの節電への取り組み。システム移設やクラウド導入以外に、ノートPCへのリプレースも行われた
社内のオフショア開発環境やOAサーバーを海外へ移設、ネットワークやデータセンター環境の強化を行った

 2つ目の「節電」では、顧客から預かったシステムや提供しているサービスに影響を与えないようにしつつ、NTTデータ社内で、多くの節電対策を行っていることを説明した。

 そのうちの1つがサーバー移設で、自社ビルおよび準自社ビルを中心に大規模なサーバー群を、東京電力管外へ移動させているとのこと。特に、NTTデータ全社で利用している開発クラウド環境を東京の三鷹からマレーシアへ、オフショア開発環境を東京の豊洲から中国の無錫へ移設するなど、国外への移設を進め、あわせて国際ネットワークを増速あるいは構築して、品質の確保に努めている。

 さらに、工場の休日操業、クールビズやサマータイムの導入、空調設定温度の調整といった一般的な対策に加えて、ITソリューションを積極的に導入して、節電・省エネに務める考えで、1)ITシステムそのものの消費電力を減らすためのソリューションと、2)ITシステムを使って消費電力を減らすためのソリューションをそれぞれ開発・導入している。

 1)では、環境配慮型データセンターである「Green Data Center」や、電力経路でのロスを極力減らす高電圧直流(HVDC)給電システム、OA機能をクラウド環境から提供するサービス「BizXaaS Office」などを活用して、データセンターやオフィスの省電力化を実施。2)では、省エネ電源タップ「ゼクノタップ」とPC管理製品「NOSiDE」を連携させた「オフィス省エネソリューション」、省エネ意識啓発活動をサポートするツール「EneMotta(エネルギーもったいないシステム)」などにより、事業者に義務づけられている、15%の消費電力削減を目指しているとのことだ。

 最後の「復興支援」では、NPO法人Open Street Map Foundationが立ち上げた、地震・津波後の地図作りプロジェクトを、他社とともに支援するほか、被災地域の学校への支援、自治体における復興行政支援などを通じて、被災地の復興支援に取り組んでいると説明している。


NTTデータの節電関連ソリューションOpen Street Map Foundationなどの活動を支援した
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