エクストリーム、クラウドやモビリティを実現する「Open Fabricデータセンターソリューション」

中核製品「BlackDiamond X8シリーズ」「Summit X670シリーズ」も


 エクストリームネットワークス株式会社(以下、エクストリーム)は6日、クラウドスケールの「Open Fabricデータセンターソリューション」および、このソリューション実現の中核を成すスイッチ「BlackDiamond X8シリーズ」や「Summit X670シリーズ」などを説明した。

 これらは、5月8日~12日に米国ラスベガスのInterop Las Vegas 2011で発表、展示されたが、日本でも6月8日~10日千葉県・幕張メッセで開催されるInterop Tokyo 2011での公開にあわせ、その内容を公開した。


BlackDiamond X8シリーズSummit X670シリーズ

 

Open Fabricデータセンターソリューションは新たなモビリティを築く

 Open Fabricデータセンターソリューションは、費用対効果の優位性をはじめスケーラビリティ(拡張性)の高さ、オープン性、仮想マシン(VM)の移動を含む仮想ネットワークに対応したクラウドスケールのデータセンター向けであることなどを最大の売りとしている。

 いまエクストリームが、Open Fabricデータセンターソリューションの基本的な考え方の1つとして重きをおいているのが、世にいうキーワードであるクラウドよりもモビリティ(モバイル)だ。

 これを反映させた同社キャッチフレーズが、ワールドワイドで前面に押し出している「Make Your Network Mobile」。これはズバリ、“あなたのネットワークをモバイルにする”ということである。これまでユーザーサイドでは、例えば3Gや4Gなど多くのモビリティを活用してきているが、データセンターサイドでも、サーバー間を移動するアプリケーションなどもモビリティと考えられ、もはやネットワーク全体がモビリティ化されているといっても過言ではない状況に基づいている。

 代表取締役 浜田俊氏も「当社は、ユーザーサイドからデータセンターサイドまで最適で安心なネットワークインフラを提供するベンダをめざしている」と、これからのエクストリームの戦略的ミッションをアピールする。


モビリティをベースとしたエクストリームの新たなミッション代表取締役 浜田俊氏

 

「BlackDiamond X8シリーズ」および「Summit X670シリーズ」

 Open Fabricデータセンターソリューションを実現するためにエクストリームが投入した代表的な機器が「BlackDiamond X8シリーズ」および「Summit X670シリーズ」の2機種だ。

 これら2機種の活用が想定されるクラウドスケールデータセンターで必要とされる条件は、「その場ですぐ仮想マシンを立ち上げサーバーを構築可能な、オンデマンドプロビジョニングをはじめ、高密度なサーバーの集約が可能なこと」、「ネットワーク構築に伴い起こりがちの多階層化による遅延や障害を防ぐこと」、また、「サーバー接続が10Gbpsを超えた40Gbpsへも対応可能なこと」「効率的な電力管理が可能なこと」ほか、多々あげられる。

システムズ・エンジニアリング部 笹川裕氏

 「このたびの2機種はこうした数々の条件を十分満足させうるようデザインされている」と、システムズ・エンジニアリング部 笹川裕氏は太鼓判を押す。

 まず、シャーシ型「BlackDiamond X8シリーズ」は、限りなくデータセンターを意識したもので、20.48Tbpsという業界でも最高峰に匹敵するスイッチング容量となっており、スロットあたり1.28Tbpsである。このシャーシの中にノンブロッキングで40Gigabit Ethernet(GbE)を192ポート、10GbEでは768ポート収容可能で、業界におけるこのクラスほぼ2倍のポート密度となっている。100GbEへの拡張も可能という。

 またN+1スイッチング、電源、ファン冗長、N+N電源系統冗長などの可用性をもつほか、シャーシ内のポート間遅延は3マイクロ秒以下に抑えられている。そしてこれだけのポート密度でありながらも14.5RUであることから1/3ラックサイズ、つまりラックに3台収容できるほどの省スペースも売りとしている。

 サポート可能なVM数は128Kまで。その他、ストレージ統合はNFSをはじめCIFS、iSCSI、FCoEにより可能で、運用管理面も消費電力10GbEあたり5Wと低く、前面吸気・背面排気、現在の消費電力もわかる設計となっている。10月にβ版を出す予定であるが、現段階での価格は未定。

 一方、ボックス型「Summit X670シリーズ」は、「Summit X670V-48x」および「Summit X670-48x」の2モデルが用意された。

 この2機種の大きな違いは、「SmmitX670-48x」が前面に1GbE/10GbEを48ポート搭載したものとなっているのに対し、「Summit X670V-48x」は前面48ポートに加えて、背面にVIM4-40G-4X用拡張スロットとして、40GbEを4ポート分搭載できる点。スプリッタの使用で10GbE×16ポート分としても使えるようになっているので、10GbEであればあわせて64ポート使用できる。

 またスタック機能としては、40GbEポートを2つ使用したSummitStack-V160が可能となるし、10GbEを2ポート使用したSummitStack-Vもサポートする。なお、Summit X670-48xでは、SummitStack-Vのみが利用可能である。

 サポートできるVM数は、2モデルとも、「BlackDiamond X8シリーズ」と同じく128Kとなっている。

 そのほか、この2モデルでは初めて、前面吸気・背面排気および背面吸気・前面排気のエアフローを選択できるようになった。これは、ユーザー環境によっては、ラック裏にデータポートをもたせる必要が起こりうるニーズにも応えようというもの。

 また新たにモーションセンサーが搭載された。これは侵入者の検知をしたり、誰もいないのに点灯しているポートのLEDを消灯させ省電力に役立てたりしようというものである。受注および納入は7月の開始予定で、価格は230万円(48ポート)程度を予定している。

 

もはや箱1つにデータセンターが集約される時代?

40GbEをベースとした壮大なファブリック例

 Open Fabricデータセンターソリューションおよびこれを実現させるスイッチのプロフィールを紹介したが、「特に1台のスイッチで最大10GbEサーバーを768台サポートできたり128000(128K)のVMをサポートできるということは、もはや箱1つにデータセンターを集約できることに匹敵する」と笹川氏は高密度性の高さをあらためてアピールする。

 そうした高密度アーキテクチャや、このソリューションのオープン性を裏付ける技術の1つOpenFlowに基づき、「BlackDiamond X8」の下に「Summit X670」を配置したシステム環境を想定してみると、最大9000台の10GbE接続によるサーバー集約など、40GbEベースの壮大なファブリックシステムイメージができあがるというわけだ。

 先のInterop LasVegasではマルチベンダー環境におけるOpenFlowのショウケースが関心を呼んだという。エクストリームでも、今後同社スイッチへのOpenFlow実装を考えているそうだ。なお現在VMwareやXenなど複数ハイパーバイザ技術と連携可能であるが、年内にはHyperVへも対応する、という。

関連情報
(真実井 宣崇)
2011/6/7 10:24