フォーステン、次世代DC向けビジョン「オープン・クラウド・ネットワーキング構想」

新ビジョンをサポートするコアスイッチ新製品も投入


米フォーステン・ネットワークス 最高マーケティング責任者のアーピット・ジョシプラ氏

 フォーステン・ネットワークス株式会社は5月27日、新しいデータセンター向けビジョンとして「オープン・クラウド・ネットワーキング(OCN)構想」を発表した。あわせて、新たなビジョンを具現化するコアスイッチの新シリーズ「Zシリーズ Zetta Scale」を6月より順次出荷開始すると発表した。

 今回発表したデータセンター向けの新ビジョン「OCN」は、他社製品との相互運用性を実現することで、柔軟なデータセンターの構築とネットワーク管理の簡素化を可能にするもの。米フォーステン・ネットワークス 最高マーケティング責任者のアーピット・ジョシプラ氏は、この新ビジョンの重要性について説明し、「従来までの完全にクローズされたメインフレームシステムは、急速にオープンモデルへと進化してきたが、実際にオープンになっているのはコンピューティングとストレージの領域のみ。ネットワーキングの領域は、いまだに独自のハードウェアやアプリケーションが使われており、クローズされているのが実情だ。これでは、真の意味でのクラウドコンピューティングを実現することはできない。そこで、今回当社では、クローズされたネットワーキングを解放するためのビジョンとして『OCN』を提唱する。これにより、次世代データセンターの潜在性を解き放つことができる」との考えを述べた。

「オープン・クラウド・ネットワーキング(OCN)」とはカスタマイズされたデータセンターを実現するOCN

 具体的に、OCNは、「オープンアーキテクチャ」、「オープンオートメーション2.0」、「オープンエコシステム」の3つのオープンから構成されている。

 「オープンアーキテクチャ」では、多様化するデータセンターにおいて、ニーズの違いに合わせてれそれぞれに最適なソリューションを選択できる環境を提供する。従来までは、事前に決められた選択肢の中から、それぞれに必要な機器を選択していたが、OCNではモジュールのベンダーロックを解除し、特定のサーバー/ストレージベンダーのみをサポートするのではなく、各分野からそれぞれ最良の機器を選択して柔軟な専用設計を可能にするという。

 2つめの「オープンオートメーション2.0」は、異なるベンダーの機器を連携させるOCNの中核となるもので、さまざまな仮想サーバー/ストレージベンダーに対応し、データセンター・ネットワーキングの簡素化と性能を最適化するフレームワークを提供する。今回、ハイパーバイザーと協調するHyperLink機能に加えて、新たに、「OpenConnect」が加わった。「OpenConnect」では、プラットフォームへのアクセスと制御の操作性を大幅に簡素化するWeb GUIを提供。また、ユーザーが自由に同社のオートメーション機能について情報交換ができる新たなコミュニティを開設している。

 最後の「オープンエコシステム」では、顧客主導型のパートナー開発を実現する。一般的なエコシステムは事前に選択肢が決められている中で活用する必要があるが、OCNでは、ユーザーに最大限の選択肢を提供するという。OCNに賛同するエコシステムとのアライアンスは今後も広げていく予定。

 このOCNのフレームワークをサポートするコアスイッチとして、今回新たに発表されたのが「Zシリーズ Zetta Scale」だ。分散型コアスイッチ「Z9000」と、シャーシ型スイッチ「Z9512」の2モデルをラインアップする。

フォーステン・ネットワークス 代表取締役社長の林田直樹氏

 フォーステン・ネットワークス 代表取締役社長の林田直樹氏は、「当社は、3か月前に日本市場における事業戦略を発表したが、その際に、今後2年間で売り上げを3倍に成長させるとともに、40Gbpsスイッチのマーケットシェアを50%以上獲得するという目標を掲げた。今回発表した新ビジョンと新製品は、この目標を達成するために欠かせないものになる」と、今回の発表が今後の同社のビジネス成長のカギを握る重要なポイントになることを強調していた。

 「Z9000」は、2.5Tbのスイッチング容量を従来のシャーシ型製品の約10分の1のサイズで実現した超小型なボックス型の分散型コアスイッチ。東日本大震災の発生以降、特に注目されているコンテナ型データセンターにも最適なモデルで、従来製品と比較して約5分の1という少ない初期投資費用で小規模からスタートできる。設置後は、分散コアネットワーク構成によって、2Tbpsから160Tbpsまで効率的にスイッチング容量を増減することができ、スモールスタートと性能を求められるクラウドコンピューティングやサーバーの仮想化に適した拡張性を備えている。また、消費電力は、800W (10GEポートあたり6.25W)と、従来のシャーシ型製品に比べて、約20分の1の超低消費電力設計となっている。

分散型コアスイッチ「Z9000」「Z9000」の特徴

 一方、「Z9512」は、ハーフラックサイズで1スロットあたり既存製品の約4倍にあたる400Gbpsのスイッチングキャパシティを提供するシャーシ型スイッチ。統合型データセンターのコアスイッチ、フラットなレイヤ2ネットワーク構成のアグリゲーションスイッチ、または階層型のレイヤ3ネットワーク構成のアグリゲーションスイッチとして利用できるほか、1GbE、10GbE、40GbEおよび100GbEを統合するマルチサービスの配備にも適している。2012年上期には、100GbEポートを48個搭載可能になる予定で、ユーザーは大規模な集中型コアスイッチの設計にも余裕をもって対応できるようになる。

 税別価格は、「Z9000」が1500万円からで、6月下旬より出荷開始する予定。「Z9512」は、価格未定で、今年下半期に発売する予定となっている。

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