日本IBM、企業の経営課題を早期解決するBAOソリューションを統合して提供


ビジネス・アナリティクス・オプティマイゼーション担当 執行役員 鴨居達哉氏
企業を取り巻く環境

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は25日、企業の経営課題を早期に解決するために、データ分析、データ活用による予測や最適化などを行ってビジネス価値を創出する「BAO(ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション)」のコア・ソリューションを統合化して提供。BAO事業を強化する。

 日本IBMでは、4年前からBAO事業に取り組んできた。現在はIBMの成長戦略分野として、(1)成長市場、(2)アナリティクス、(3)クラウド・コンピューティングと次世代データセンター、(4)Smarter Planetという4つの1つに位置づけ、事業強化を図っている。

 今回、これまで個別に提供してきた「リスク管理」、「財務管理」、「サプライチェーン管理」、「販売・マーケティング」の4分野について、「情報統合の基盤構築」、「可視化(見える化)」、「データ分析」、「予測と最適化」を行うBAOコア・ソリューションとして統合化して提供する。

 「企業を取り巻く環境が複雑化している。最近の主な課題としては、グローバリゼーションにより、新興国への対応が不可欠になり、さらに顧客ニーズの多様化、リスク・マネジメントの必要性、法制度や規制の強化がある。これらが密接に関連した課題を解決していくために、経営層がBAOに興味を抱くようになっている」(日本IBM ビジネス・アナリティクス・オプティマイゼーション担当 執行役員 鴨居達哉氏)

 IBMでは、2年に1回実施する「CIO Study」「CFO Study」「CEO Study」、2010年に108国、3000人を対象に調査を行った「Analytics Study」といった経営層を対象とした調査を実施。その結果、アナリティクスと業績が相互関係にあることが明らかになったという。

 「アナリティクス活用が進んでいる企業は、導入間もない企業に対し業績が3倍違うという結果が出た。さらに、好業績の企業は先端的なアナリティクス活用率が、そうでない企業に比べ5.4倍という結果が出た」(鴨居執行役員)。

 なお、日本企業の場合、アナリティクスを活用している企業でも先進的なアナリティクスを活用している企業は6%にとどまり、財務、予算管理など定型データ分析での活用83%と、先進的な活用がまだ少ない。アナリティクスを行う際の障壁としても、データの品質や鮮度、整合性といった基本的な部分を障壁とする回答が44%と、基本的な部分が障壁となっているという。


企業が抱えるさまざまな課題アナリティクスと業績の相互関係分析導入の主な障害
ビジネス価値を最大化するBAOコア・ソリューション

 こうした状況を踏まえ、BAOコア・ソリューションとして次の7つを用意した。

 (1)財務管理の予測・最適化、分析、可視化するためにグローバル経営ダッシュボードとして、IBMのソフトウェア「COGNOS」、「SPSS」を活用。連結経営管理の高度化、グローバル・レベルの意思決定の迅速化を実現するため、売り上げ、原価、在庫、生産高といった経営管理情報を製品・顧客・地域といったセグメントごとで把握し、予実対比や対前年比の表示、予算策定・シミュレーションなどを行う。

 (2)リスク管理の1つとして、不正検知を行い、ソフトとして「SPSS」を活用。

 (3)統合リスク管理としては「COGNOS」、「OpenPages」を活用。経営判断に必要な全社のリスク情報の把握やリスク管理業務の負荷軽減を実現するため、リスク情報の可視化や全社共通のコントロール体系の定義、リスク管理業務の手法や運営を標準化・省力化を支援し、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンスなどの管理業務を支援する統合化されたプラットフォームを構築する。

 (4)グローバル・サプライチェーン最適化には、「COGNOS」「SPSS」「ILOG」を活用。製造現場や物流の情報をリアルタイムに統合し、売り上げや利益などの経営情報と連携させることで、需給業務の品質、効率、スピード向上を実現する。


グローバル経営ダッシュボード統合リスク管理グローバル・サプライチェーンの最適化

 (5)販売・マーケティングでは、「COGNOS」「SPSS」「ILOG」「Unica」「Sterling Commerce」を活用。コールセンターに寄せられる顧客からの声だけでなく、売り場、ネット販売、インターネットに散財するユーザーの声などを総合的な顧客情報を見いだす体制を構築する。

インフォメーション・マネジメント・ファンデーション

 (6)情報を統合する基盤、インフォメーション・マネジメント・ファンデーションでは、データ・インフラの最適化、業務・オペレーションの効率向上、データ信頼性の向上などによって、データを活用した高い付加価値を生み出す情報統合基盤を実現するため、データや情報システムの整理・統合、データ・ガバナンスの策定などを行う。

 (7)企業に存在する大量のドキュメントを活用していくためのコンテンツマネジメントとして、「FileNet」を活用した、ECMによるワークプレイス改革。

 これまで個々に提供してきた7つのソリューションを統合化して提供し、「コンサルティング構築、ソフトウェア、アナリティクス・ソリューションセンター、IBM Researchなどさまざまな角度から、IBMのケーパビリティ、知見をインテグレートして、お客さまに提供していく」(鴨居執行役員)計画だ。

関連情報
(三浦 優子)
2011/5/25 16:48