富士通、ストレージ「ETERNUS DX」を強化~新コンセプト「The Flexible Data Safe」を発表


 富士通株式会社は25日、ストレージビジネスへの取り組みを説明するとともに、ストレージシステム「ETERNUS」の新製品として、「ETERNUS DX series」のラインアップを強化した。

富士通 執行役員 ストレージシステム事業本部長の五十嵐一浩氏
ETERNUS Seriesと(左から)富士通 ストレージシステム事業部長の有川保仁氏、富士通 執行役員 ストレージシステム事業本部長の五十嵐一浩氏、富士通 常務理事 プラットフォームソフトウェア事業本部長の堀洋一氏

 また、新たなストレージソリューションコンセプトとして「The Flexible Data Safe」を発表。「これにより、さまざまなニーズに応える柔軟な製品やソリューションの提供と、富士通がメインフレーム時代から半世紀にわたって培った高信頼性技術を継承したデータ保全、セキュリティの強化が可能になる。このコンセプトをもとに、世界で統一した“One ETERNUS”としての製品展開を行っていくことになる」(富士通 執行役員 ストレージシステム事業本部長の五十嵐一浩氏)と語る。

 新製品のETERNUS DX80 S2およびDX90 S2、ETERNUS DX410 S2およびDX440 S2は、ストレージソリューションコンセプトである「The Flexible Data Safe」に基づいて開発したもの。「新たなコンセプトのもと、アーキテクチャの一新を図った。最新の技術をいち早くユーザーに還元し、拡張性や運用性に優れた機能を拡充するとともに、使いやすさを向上させた。柔軟なデータ管理と、データ保存における安全性確保を実現しており、ユーザーの規模、利用シーンにあわせた最適な製品を提供していく」(富士通 ストレージシステム事業部長の有川保仁氏)とする。

 高性能CPUの採用や内部バスの高速化などにより、エントリーモデルのETERNUS DX80 S2およびDX90 S2では、従来比で最大2.2倍、ミッドレンジのETERNUS DX410 S2およびDX440 S2では、従来比最大4.2倍のスループット性能の向上を実現。サーバーとのデータ転送には新たに10Gbps FCoE、10Gbps iSCSIをサポート。高速で大規模なネットワーク構築を可能にする。

 また、高密度実装設計や搭載部品点数の削減により、従来比58%減という大幅な小型化を達成したほか、高効率な電源供給モジュールの採用や2.5型SASドライブの採用などにより、従来比54%減の省電力化を実現した。

 MAID技術を応用したエコモードでは、未使用ディスクの回転を停止する省電力運用も可能となっている。

 「エントリー機種でも異機種間接続が可能となり、Disk to Diskの高速データバックアップと災害に備えた複数拠点へのリモートコピーができる。コストを抑えた災害対策システムを構築できる」とした。

 価格は、ETERNUS DX80 S2が194万3000円から、DX90 S2が559万円から、ETERNUS DX410 S2が1074万8000円から、DX440 S2が2024万8000円から。出荷は6月30日より開始する。

 今回の新製品では、今後2年間で3万台の出荷を目指す。


ミッドレンジストレージのETERNUS DX440 S2エントリーモデルのETERNUS DX90 S2
ETERNUS SF V15の概要

 また、ストレージ管理ソフト「ETERNUS SF V15」を新たに提供。ウィザード形式のユーザーインターフェイスを採用することで、導入設定の簡素を実現するなど操作性を向上。さらにシリーズ全体としての画面デザインや操作性を統一化。SAN管理、性能/障害管理や、高速コピー機能を使用したバックアップやレプリケーション管理など、運用管理の効率化を実現しているという。同ソフトでは、エコモードの管理や消費電力および温度の監視が可能となり、業務ごとの統計結果を出すことも可能になっている。

 ETERNUS SF V15は、3つのソフトウェアで構成されており、ストレージシステム全体の構成や性能、障害管理を行うETERNUS SF Storage Cruiser 15の価格は41万円、高速バックアップやリストア、レプリケーションを行うETERNUS SF Advanced Copy Manager 15が51万円から、エントリーディスクアレイの管理を行うETERNUS SF Express 15が16万円から。ETERNUS SF V15は、日本での販売を皮切りに順次全世界で発売していく。

 なお、ETERNUS DX seriesは、今回の製品発表により8モデルのラインアップとなる。

 「今後はエントリーモデルのDX60、ハイエンドのDX8000の後継機種も発表する予定であり、同様の機能を装備し、DXシリーズ全体の統一性を持たせた新たな世代のラインアップを完成させる」(有川事業部長)とした。

 

開発体制の陣容強化などで、日本、グローバルでのシェア拡大を図る

ETERNUS DX/SFのラインアップ

 同社のストレージ事業は、国内では19.5%と2位のポジションにあるが、グローバル市場では2.2%にとどまり、8位となっている。

 「グローバルシェアにおいて、Tear 1と呼ばれるようなところに入っていかなくては、市場での存在感がないと考えている。もっと上を狙っていく。2010年後半から、EMIAにおいて大変な勢いで成長しており、今回の新製品で弾みをつけていきたい」とする。

 今回の会見では具体的な数値目標については言及しなかったが、「日本国内では、サーバーは首位であり、それと同じシェアであるべき。また、グローバルでは、まずはその他に入らないような位置を狙いたい」とした。

 現在、ストレージシステムの開発は、富士通およびドイツの富士通テクノロジーソリューションズで行っており、開発体制の陣容を強化した。生産は日本、ドイツ、中国で展開しており、全世界71カ国での導入実績がある。

 「ユーザーニーズは、事業継続、セキュリティ・コンプライアンス、ライフサイクルマネジメント、情報連携、グリーンといったように多岐にわたるが、これらのニーズに対して、さまざまな要素技術を組み合わせることで応えていく。単にハードウェアを強化するのではなく、ソフトウェアの進化によってソリューションとして提供することが当社のストレージ製品の差別化になる。SANディスクアレイにおけるスループットでは世界最高であると自負しており、また富士通のDNAである高信頼性や、エントリーからハイエンドまでのすべての製品を共通のアーキテクチャや考え方を統一して製品展開をしていくことも富士通ならではの特徴といえる。一方で、他社製品との接続に関しては遅れがあったという反省がある。開発体制の陣容強化によって、検証を進め、こうした課題もカバーしていく」などとした。

ストレージビジネスにおける攻めの成長シナリオETERNUSの世界展開
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