日本HP、クラウド環境の早期導入と運用効率化を支援する構築サービスを発表

執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長の有安健二氏

　日本ヒューレット・パッカード株式会社（日本HP）は19日、プライベートクラウド環境の早期導入と運用の効率化をサポートする構築サービス「HP CloudStart」を提供開始すると発表した。同サービスは、統合インフラソリューション「HP BladeSystem Matrix」をインフラ基盤に、プライベートクラウド環境に必要な管理ツールと構築サービスを標準パッケージにして提供するもの。構築後の運用をサポートする構成オプションも用意している。

　新サービスの発表にあたり、執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長の有安健二氏が、同社のクラウドへの取り組みを説明。「当社では、データセンターを中心とするIT基盤、および企業、個人、公共・公益におけるITサービスの変革に向けて『HP Cloud』を展開しており、その中で、クラウドを取り込みながらITサービスの最適化を実現する『HP Hybrid Delivery』ソリューションを提供している。さらに、クラウドの設計・構築・管理・運用のためのさまざまなアーキテクチャを用意するとともに、クラウドの企画から設計、構築まで一連の流れを支援するサービスを体系化している」という。

「HP Cloud」の特徴	クラウドを実現するためのサービス体系

　そして、「今回の『HP CloudStart』は、プライベートおよびパブリッククラウド基盤の構築を支援するためのソリューション製品だ。標準化されたクラウドシステムを短期間で構築するために、クラウド環境に必要な製品とサービスをパッケージ化して提供する」と、新サービスの位置づけを述べた。

　具体的には、HPが培った国内外での豊富なプライベートクラウド構築、運用実績をもとに、プライベートクラウド環境に必要なインフラ基盤、管理ツール、構築サービスなどをすべて標準パッケージ化。顧客のニーズに沿って、データ保全/監視・可用性保全・課金・管理などの機能を事前に定義し、統合インフラソリューション「HP BladeSystem Matrix」をインフラ基盤に活用して短期間でのプライベートクラウド構築を実現する。

「HP CloudStart」の概要	テクノロジーコンサルティング統括本部 テクノロジーソリューション本部 インフラストラクチャソリューション部 部長の榎本司氏

　テクノロジーコンサルティング統括本部 テクノロジーソリューション本部 インフラストラクチャソリューション部 部長の榎本司氏は、「クラウド環境の実現に必要な機能をプレパッケージ化したことに加え、導入後の展開・運用をスムーズにするためのノウハウを提供することも『HP CloudStart』の大きな特徴だ。ワークショップを通じて、プライベートクラウド導入後の課題・問題点を明らかにするとともに、構築時に必要となる要素と機能の共有と検討を行う。そして、策定したインフラ設計方針をもとに、当社が提供する設計テンプレートから最適な構成を選定することで、早ければハードウェア到着後約30日という短期間でプライベートクラウドを構築できる」と、製品とサービスが一体になった「HP CloudStart」のメリットを強調した。

　このほか「HP CloudStart」では、プライベートクラウド構築後の運用効率化、および高付加価値化を支援するための構成オプションも用意している。これにより、プライベートクラウド環境の構築から運用までをエンドツーエンドでカバーし、早期のITサービス最適化を可能にする。

クラウド事業本部の発足

　また同社では、今回の新サービス発表に合わせて、5月にクラウドビジネスの専門部隊「クラウド事業本部」を立ち上げ、クラウド関連の各種ハードウェア、サービスを取りまとめたトータルソリューションの提供を推進していく方針を明らかにした。

　有安氏は、クラウド事業本部設立の狙いについて、「当社は長年クラウド事業を展開してきたが、今後ビジネス規模をさらに拡大していくためには、ソリューションの作り込みに加え、より幅広い製品やアーキテクチャの検証、さらにはプライベートやパブリックを含めたクラウド全体のコンサルティング力が必要になると考えた。そこで、当社のクラウドに関する総合力を提案していくチームとしてクラウド事業本部を立ち上げた」とし、「今後3年で事業規模を5倍にする」との考えを示した。

　クラウド事業本部では、同社のさまざまなクラウド関連サービスおよび関連ハードウェア、ソフトウェアを含めたトータルな提案を行う。また、パブリック、プライベートクラウド問わず、顧客へのより効率的なプライベートクラウド導入やパブリッククラウドサービスの利用を支援し、同社が提唱する「HP Hybrid Delivery」の具現化を推進していく。