「パートナーエコシステム」を強調、シマンテック河村社長の事業戦略

「SEP」新版や「Symantec.cloud」で新たな価値を


代表取締役社長の河村浩明氏
パートナーエコシステムによる水平展開が基本戦略

 株式会社シマンテックは8日、戦略説明会を開催。代表取締役社長の河村浩明氏が基本戦略や4つの重点施策などを説明した。

 シマンテックでは「クラウド」「仮想化」「モバイル」「セキュリティ脅威」「データ急増」を現在のトレンドと見る。この状況に「当社はパートナーエコシステムによる水平展開を図る。これが基本戦略。特に力を入れているのが、VMware、HP、富士通、NEC、日立などとの協業で、彼らとともにセキュリティ・バックアップ・ストレージ分野をいかに強化していけるかが、今後のシマンテックの生き残りの鍵となる」(河村氏)とした。

 2011年度の重点施策は「ディストリビューション・チャネルのシェア向上」「OEMパートナーへのエンベデッドソリューション」「Big Enterpriseにおけるビジネス強化」「クラウドサービス」の4点。「以前より注力しているところだが、変わらず継続実行していく」(同氏)。

 「ディストリビューション・チャネルのシェア向上」では、ソリューション別に特化したパートナー支援プログラム「Specialization Program」を推進するほか、今後の目玉製品として「Symantec Endpoint Protection(SEP)」と「Backup Exec System Recovery」を紹介した。2月15日には全世界で新版を発表しており、特に「SEP 12“Ameber”」の製品力でチャネルのシェア向上を狙うとした。

Amberの特徴。既知の悪いファイル・良いファイルを検出するのは容易。課題はあまり知られていない悪いファイルをいかに検出するか。Amberでは、ユーザーベースのレピュテーション技術とビヘイビア技術を組み合わせて対処している基盤となっているのが世界最大のノートンコミュニティ。独自技術「シマンテック インサイト」でレピュテーションやホワイトリストを実現している

仮想化環境にも対応し、Amberには新機能「シェアードインサイトキャッシュ」を搭載。1つの仮想マシンでスキャンした結果を学習し、他の多数の仮想マシンでは、同じ定義ファイルでスキャンが完了しているファイルのチェックをスルーさせる。これにより、処理を高速化

Backup Exec System Recoveryの次期製品。SMB市場に簡単バックアップ・リストアを提供する利用イメージ
富士通、NEC、日立との協業売上実績が過去最高に

 「OEMパートナーへのエンベデッドソリューション」では、既存の協業を強化しつつ、新たな分野にも積極的に展開を図る。既存の協業としては、富士通、NEC、日立へ各種ソフトをOEM提供を行っている。例えば富士通には、サーバー製品へ「Symantec FileStore」「Backup Exec」を提供しているほか、富士通クラウドサービスでの「SEP」標準採用などが挙げられる。3社との協業では、2011年度に対前年2ケタの大幅伸張を遂げ、過去最高の売り上げが見込まれているという。

 これらに加え、NTTドコモとノートPC向け情報漏えい対策ソリューション、ハギワラシスコムとウイルス対策USBメモリの共同開発も発表。さまざまな「セキュリティ脅威」に対抗するため、新たな取り組みを矢継ぎ早に展開している。

プロセスを自動化した情報セキュリティプラットフォームを構築するため、スイート製品の強化・拡充を図る
クラウドサービス「Symantec.cloud」を推進。今後、エンドポイントセキュリティ・バックアップ・DLP・PGPなども順次クラウド化していく

 「Big Enterpriseにおけるビジネス強化」では、ストレージ製品の管理性を軸にデータセンターの変革を支援するほか、セキュリティ面でも現状のつぎはぎのソリューションではなく、シンプルにスイート化し、PDCAに対応(プロセスを自動化)した情報セキュリティプラットフォームの構築を進めるとした。

 最後の「クラウドサービス」では、従来のメッセージラボのサービス群をブランド改称した「Symantec.cloud」を推進する。これはアンチウイルス/スパム、URLフィルタリングなどをSaaSで提供する一連のサービスだが、「今後はエンドポイントセキュリティ、バックアップ、DLP、PGPなども順次クラウド化し、Symantec.cloudに取り込んでいく」(同氏)という。また、ここでもパートナーエコシステムを重視し、シマンテックからは「SaaS」「クラウドを構築するソフト」「クラウドと連携するソフト」をラインアップすることで、パートナーとともに新たな市場を創出していくとした。

 今後の製品計画としては、「情報セキュリティプラットフォームに向けたスイート製品、モバイルエンドポイントセキュリティ&管理、ITセルフサービスバックアップなどで新製品を予定している」と紹介した。以上の施策により、「2014年にセキュリティ・ストレージ・バックアップソフトでNo.1を目指す」とした。

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