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サンディスク、エンタープライズ向けのオールフラッシュストレージ「InfiniFlash」
“重複排除や圧縮なしでGB単価1ドルの壁を打破”
(2015/10/27 06:00)
サンディスク株式会社は26日、エンタープライズ向けのオールフラッシュストレージ「InfiniFlash」を日本で11月中旬から提供開始することを発表した。米国で3月に発表された製品の、日本市場への投入となる。
3Uの筐体に、8TBのフラッシュカードを8~64枚搭載して最大512TBという高密度が特徴の1つ。サーバーとの接続はSASインターフェイスで、最大8台のサーバーと接続可能。カードもSASインターフェイスで筐体に挿す。
記者発表の席では、フラッシュストレージのコストを下げる狙いが何度も語られた。「重複排除や圧縮なしで、GB単価1ドルの壁を打破した。InfiniFlashによって、企業にもっとフラッシュストレージに移行してもらいたい」と、米SanDiskのラヴィ・スワミナサン氏(バイスプレジデント兼システム&ソフトウェアソリューション担当ゼネラルマネージャー)は説明。「競合のエンタープライズ向けフラッシュストレージベンダーは、重複排除や圧縮によって、ようやくGB単価3~6ドル。垂直統合で製品を作れるSanDiskの強みだ」と主張した。
性能面では、100万以上のIOPSと最大9GB/秒のスループット、1ミリ秒の遅延。信頼性の面では、電源やファン、SAS拡張ボードもすべて冗長化される。フラッシュカードを含めたこれらはホットスワップ可能。これらにより、平均故障間隔が150万時間という。
消費電力効率の高さもうたっており、「通常時の典型的なワークロードで、512TBで400~500Wですむ」という。
ラインアップとしては、ハードウェアのみの「IF100」のほか、オブジェクトストレージなどとして使われるオープンソースの分散ストレージソフト「Ceph」を組み合わせた「IF500」と、ハイパフォーマンスブロックストレージOS「ION」(買収したFusion-io社の技術がベース)を組み合わせた「IF700」の、3機種を販売する。IF500/IF700では、ソフトウェア部分には別途サーバーが必要となる。
同時に、Software Designed Storage(SDS)の企業やオープンソースソフトウェアとのエコシステムも重視。9月にはNexenta社が、SDS製品「NexentaStor」をInfiniFlash IF100と組み合わせたソリューションを発表している。
米国で3月に発表された製品を日本で10月に発表したことについて、「日本では、サポートや部品供給などの体制を整備してから発表した」と、サンディスクの奥村英記氏(エンタープライズセールス リージョナルセールスディレクター)は説明した。
国内での施策は3つ。ロジスティックス体制としては、全国129カ所の物流センターから最短90分以内で保守部材を供給可能とする。また、SDSベンダーとのアライアンスを組む。さらに、SIパートナーとのパートナーシップによりデータセンターに製品を提案していく。
また、ワールドワイドでは主な対象分野として「コンテンツリポジトリ」「ビッグデータ分析」「メディアサービス」の3つを挙げているが、「日本ではそれにHPCを加え、4分野にフォーカスする」と奥村氏は述べた。
奥村氏は海外での実績も紹介した。IBMのスケールアウトストレージ「GPFS(General Parallel File System)」でInfiniFlashを採用した事例では、ハードディスクに比べ、台数を減らしてハードとGPFSのライセンスを削減したという。また、Oracleデータベースの事例では、InfiniFlashを通常のディスクとして使い、REDOログの高速化のためにSanDiskのFusion ioMemoryを組み合わせて高パフォーマンスを実現したという。
サンディスク 代表取締役社長の小池淳義氏は、フラッシュの容量あたりのコストが20年で5万分の1になったというデータを示して、「ムーアの法則をしのぐ技術革新」と説明。エンタープライズ分野において、フラッシュストレージはハードディスクに比べて「問題はコストだった」として、「InfiniFlashは次のイノベーションを起こす製品」と語った。