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国内企業のIoT利用率は4.9%、用途は社内利用が9割~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は26日、国内IoT(Internet of Things)市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。国内企業のIoT利用率は4.9%、用途としてはコスト削減などの社内用途が9割だが、サービス付加価値向上などの社外用途も3割程度あるとしている。

 調査は、2015年5月~6月に全国の従業員規模100人以上の企業を対象として、IoTの利用動向に関する定量調査(ウェブアンケート)および定性調査(個別の対面インタビュー)を実施したもの。ウェブアンケートに対して回答のあった6906社のうち、IoTを利用している企業は340社で、利用率は4.9%となった。

回答企業に占めるIoT利用企業の割合(出典:IDC Japan)

 産業分野別で、IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクター(利用率6.7%)で、組立製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組み込み機器が、古くからIoTとして活用されてきていることが関係しているとしている。

 そのほかの産業分野のIoT利用率は、流通/サービスセクターが5.0%、公共/インフラセクターが3.2%、金融セクターが1.3%。

 IoTの利用用途としては、自社で保有する産業機器の稼働状態の見える化や故障検知など、「社内用途」がIoT利用企業の回答の9割を占めた。また、顧客の保有する産業機器のリモート管理/制御や顧客分析/マーケティングなどといった、「社外用途」はIoT利用企業の回答の3割程度だった。

 IDC Japanコミュニケーションズマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「IoT事業者は、新しい産業分野の顧客を開拓する上で、各産業分野に特化したソリューションプロバイダーやコンサルティング会社と提携していくことが重要になる」とし、「顧客がIoTでいかに収益を高めるかを最優先に考え、その上でいかに他の事業者よりも多くのトライアンドエラーを繰り返すかが鍵になる」と分析。さらに、「『セキュリティReady』な状態でのソリューションの提供や、顧客へのセキュリティリスクに関する啓発活動を積極的に展開することが重要になる」とコメントしている。

三柳 英樹