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仕事が楽しいものになる――、中学生もそう感じるテレワークによる働き方とは?

日本マイクロソフト、テレワーク週間2015の実践の模様を公開

 日本マイクロソフト株式会社は24日、8月24日から28日までの期間に実施する「テレワーク週間2015」の実践の模様を公開した。

 同社自身は2013年から取り組んでいるテレワークだが、今回はテレワークの実践、学ぶ/議論する、応援する/協力するという3つのフェーズで651法人が賛同。初日である24日には、東京大学教育学部付属中等教育学校の生徒18人が参加し、テレワークを利用した働き方に関するセミナーを受け、多様化している働き方を学んだ。

賛同法人と連携
テレワーク週間中の日本マイクロソフトの取り組み

 また、マイクロソフト社員がさまざまな働き方にチャレンジ。時間と場所にとらわれない働き方の実践例として、

1)賛同法人であるコニカミノルタビジネスソリューションズの浜松町のテレワークスペースを使っての業務
2)同じく賛同法人であるカラオケルーム歌広場での業務
3)滞在型テレワークとして北海道 別海町でのテレワークの実践、
4)機材などが必要であるためテレワークには適さないといわれたカスタマーサポート部門のテレワーク
5)海外帰省中の家族の故郷でのテレワーク実践

といった5カ所から、実際に働いているマイクロソフト社員がSkypeで登場。テレワークを実践中の感想を紹介した。

日本マイクロソフト社員のテレワークシーンの紹介

中学生18人がセミナーに参加

 日本マイクロソフトのテレワークへの取り組みについては、すでに8月10日に説明会が開催されている。今回は実際にテレワーク実践中の現場が公開された。

 今回は651法人が賛同法人として、テレワークの実践、テレワークを学ぶ/議論する、テレワークを応援する/協力する、のいずれかを行う。8月24日には「学ぶ/議論する」の一環として、東京大学教育学部付属中等学校の生徒に向けて、働き方セミナーの実施、日本マイクロソフトのオフィスを見学するツアーが実施された。

 最初に18人の中学生はセミナーに参加。参加者は学校側からの見学呼びかけに応じて集まったメンバーで、中学1年生から3年生までのメンバーが参加している。事前アンケートで、日本マイクロソフトへの質問を募ったところ、「日本マイクロソフトへはどのように入社したのか?」といった入社のきっかけを問う質問、「仕事は大変ですか?」といった仕事の大変さについての質問、「全員にプログラミングスキルがありますか?」といった技術に関する質問が寄せられた。

 中には、「業務のどのくらいを日本で行い、米国本社はどれくらい干渉してくるのか?」という、日本マイクロソフト社員から「おお!」と声があがるような鋭い質問もあがっていた。

テレワークに関するセミナーを聞く東京大学 教育学部 付属中等教育学校の生徒たち
中学生からの事前質問

テレワークは企業としてメリットがあるもの

 セミナーは、普段は広報業務を管轄するコーポレートコミュニケーション部の部長で、「テレワークプロジェクト2015」のアドバイザーでもある岡部一志氏と、普段はSkype for Businessを担当し、「テレワークプロジェクト2015」のプロジェクトリーダーである小国幸司氏が講師となって進められた。

日本マイクロソフト 「テレワークプロジェクト 2015」アドバイザー コーポレートコミュニケーション部の岡部一志部長
日本マイクロソフト 「テレワークプロジェクト 2015」プロジェクトリーダー 小国幸司氏

 岡部氏はマイクロソフトの歴史を紹介。創業者であるビル・ゲイツ氏の写真、最初の名刺など歴史的資料と、現在のマイクロソフト、日本法人である日本マイクロソフトの現在を紹介した。

 「昨年、新しいCEOとしてサティア・ナデラが就任しました。社員数は12万人で、全世界114地域で事業を行っています。日本マイクロソフトは1986年に設立し、来年で30周年を迎えます。社員数は2400人で、米国につぐ規模となっています」(岡部氏)。

 小国氏は、日本マイクロソフトがテレワークを取り入れることに対して、「決まった時間、場所で働くという働き方が、いつでも、どこでも活躍できるという働き方に変わりました。ポイントは活躍という点で、単に働くだけでなく、従来よりも成績をあげる、効率をあげることができるからこそ、テレワークを取り入れています」と、テレワークは企業としてメリットがあるものだと説明した。

 そして実際にテレワーク環境で働く日本マイクロソフト社員5人を紹介した。

 今回の賛同法人の1社である、コニカミノルタビジネスソリューションズの浜松町のテレワークスペースからは、やはり賛同法人の1社であるオカムラ製のいすを使ってスタッフが登場。画面で見ると、大きな耳がついているように見える不思議なデザインだが、「話し声を周囲に聞こえにくく、周囲の声がこちらには聞きにくくするための工夫によるデザイン」なのだそうだ。

 いつもとは異なる景色を見ながらの仕事は新鮮のようで、「午前中にはやはりSkypeを使って2本会議をしましたよ」と、他社のテレワークスペースであっても、円滑に仕事が進んでいることがアピールされた。

 今回の賛同法人の中でユニークな例である、カラオケルーム歌広場から仕事をしている様子も中継された。カラオケルームは防音の個室として利用ができるため、テレワークを行う場所として活用できないかという新しい試み。カラオケボックスからの中継と聞いて、中学生たちから笑みがこぼれ、「飲み放題のジュースを飲みながら仕事をしています」という報告に会場も和やかなムードとなった。実践的にも防音空間であるため仕事はしやすいそうで、今回の「マイクなし」という領収書が定着すれば、カラオケボックスが仕事の場として認知される可能性も感じさせた。

コニカミノルタビジネスソリューションズの浜松町テレワークスペースからの中継
カラオケルーム歌広場からの中継

さまざまな応用例を紹介

 地方振興策との連携でもある、北海道別海町の滞在型テレワークスペースでは、8月24日現在6人のマイクロソフト社員(家族を含め18人)が、廃校だったスペースを改造したテレワークセンターで働いている。現地は16℃だそうで、「涼しいというより、寒いくらいです」と、東京とは異なる環境。Skypeの背後から子供たちの声も聞こえる。「すぐに子供の顔を見ることができたり、一緒に食事をとることができるなど、普段とは違う環境での仕事ですね」という報告に、中学生も驚いた様子だった。

 これまでテレワークには不向きとされていた技術サポートだが、今回、Exchangeのサポートを行うチームが岐阜県飛騨高山の古民家に合宿し、テレワークが行えるのか実践で試す試みが行われている。中継の画面も、ほかの中継地点とは異なり、バックには仕事をするスタッフがいる中での中継となった。Exchangeは社内から離れた環境で利用する人も多いソフトのため、サポートチームも社外での作業を体験するべきでは?という理由から、スタッフが志願して、今回のテレワーク実践となった。「午後には町作り協議会というところで、意見交換を行います」と今回の機会を広く活用していく姿勢がアピールされた。

北海道別海町からの中継
カスタマーサポート部門のテレワークとして岐阜県飛騨高山からの中継

 日本以外でのテレワーク例として、家族の実家があるベルギーからの中継も行われた。自宅で仕事をするだけでなく、ブリュッセルにあるマイクロソフトのオフィスに行くと、社内設備を利用することができるそうで、「日本にいる時とかわりなく、仕事ができます」と海を越えても仕事が進められることがアピールされた。

 こうした実例と、現在開発中の音声翻訳システム「Translator」がビデオで紹介されると、あらためて質問を受けると、中学生からは鋭い質問が次々に飛び出した。

 「テレワークを利用すると、休暇中でも仕事に追いかけられることになるのでは?」という質問が出ると、日本マイクロソフト社員から、「おお!」というどよめきが起こった。岡部氏は、「仕事には追いかけられることになります。ただし、休み明けにまとめて仕事に対処することで、休み明けでも普段と同じ調子で仕事ができるようになる」とプラス効果があることもアピールされた。

 音声翻訳に対しては、「文字の翻訳技術は確立されてきているが、音声翻訳はまだ技術が確立していないのでは?特に口語的表現など、翻訳が難しい側面もあるのでは?」と報道機関の記者会見並に厳しい質問も飛び出した。

 日本マイクロソフトのオフィス内を見学し、Surface、Windows 10に触れる時間などもとられ、今回の感想を尋ねられると、「仕事というと堅苦しい場所で、堅苦しくやるイメージだったが、この環境ならモチベーション高く、仕事はつらいものではなくなっていくのではないかと思った」と日本マイクロソフトスタッフが絶賛する感想が飛び出した。

Surfaceを紹介され、盛り上がる中学生

 こうした見学会と共に、1階スペースは他社からのテレワークを行うスタッフを受け入れるために解放され、さまざまな什器を使って、思い思いのスタイルで仕事を進める様子が見受けられた。

1階スペースはテレワークスペースとして開放され、社員以外でも利用可能に

三浦 優子