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日本公庫が3事業基幹システムを仮想化統合、年間維持費を3割減に

 株式会社日本政策金融公庫(以下、日本公庫)が、国民事業、農林事業、中小事業の3事業それぞれの基幹システムを、オープン化と仮想化技術を用いたプライベートクラウド環境に統合し、本格運用を開始した。構築を支援した富士通株式会社が28日、発表した

 日本公庫は従来、事業ごとに異なるベンダーの汎用機(計13台)を中核とした基幹システムを運用しており、汎用機ごとにシステム開発・運用・保守が必要となっていた。この解決のため、仮想化技術で基盤を統合した。

 OSには「Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)」、ミドルウェアに「Red Hat JBoss Enterprise Application Platform」を適用。富士通と提供元とで密接に連携することで手戻りを最小限に抑え、2011年12月から2014年5月までの約30カ月で構築した。

 中小事業向けの基幹システムのオープン化においては、大規模汎用機システムのオープン化で実績のあるツール群を用い、COBOLとJavaで書き換えた。また、RHELと親和性が高く、効率的なサーバー集約を可能にする「KVM」を用いて仮想サーバー群をデザインすることで、サーバーラック16台に収まるブレードサーバー「PRIMERGY BX900」約200台に3事業本部の基幹システムプラットフォームを統合したという。

 運用面では、統合運用管理ミドルウェア「Systemwalker」を導入し、3事業本部の基幹システムの運用自動化と稼働・性能監視を効率的に実現。これらにより、日本公庫ではシステム全体の維持コストを年間約3割削減できると見込んでいる。

川島 弘之