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NEC第3四半期は減収増益、通期見通しは変更せず、営業利益1200億円が最優先

取締役執行役員兼CFO、川島勇氏

 日本電気株式会社(以下、NEC)は29日、2014年度第3四半期までの累計連結業績(2014年4月~12月までの9カ月間)を発表した。

 売上高は前年同期比3.9%減となる2兆20億円、営業利益は同50.1%増の356億円、経常利益は同526.6%増の364億円、当期純利益は前年同期から378億円改善して228億円の黒字となった。

 通期見通しは変更せず、売上高は前年比1.4%減の3兆円、営業利益は同13%増の1200億円、経常利益は同30.1%増の900億円、当期純利益は同3.7%増の350億円のままとする。「収益は順調に推移しているが、営業利益1200億円の確実な達成を優先し、期首計画通りで変更なしとする」(取締役執行役員兼CFO、川島勇氏)と、あらためて営業利益1200億円必達を強調した。

2014年度第3四半期まで業績サマリー
2014年度通期の業績予想

SDN分野は投資の分、減益に

 第3四半期まで累計のセグメント別売上高では、パブリック分野売上高は前年同期比10.6%増の1814億円、営業利益は前年同期からマイナス18億円の158億円。公共向け中心に堅調に推移し、社会インフラ事業は消防防災関連、交通都市基盤が好調で10%を超える増収となったものの、ITサービス分野が微増にとどまった。営業利益については、前年に採算性の高い案件が多かったことから減益となった。

 エンタープライズ分野売上高は前年同期比0.8%増の612億円、営業利益は前年同期から7億円増の5億円となった。流通・サービス業向け売り上げが増加し、営業利益は売上増、費用効率化などにより増益となった。「ほぼ想定通りの結果となった」(川島氏)。

パブリック
エンタープライズ

 テレコムキャリア売上高は前年同期比1.1%減の1708億円、営業利益は前年同期から36億円減の88億円。売り上げについては国内、海外ともに横ばいとなったが、海外ではTOMS、海洋システムは堅調に推移した。営業利益のマイナスについては、「現在、SDNが投資段階にあり費用が増加している。企業向けにはすでに200社程度の実績も出ているが、公共向けについては20社と実証実験を実施中で、順次受注に転換することを期待している。投資段階終了まで、もうちょっとというところ」(川島氏)とSDNの投資が先行しているために減益となっていると説明した。

 システムプラットフォーム売上高は前年同期比8.2%減の1705億円、営業利益は前年同期から36億円減の44億円。ビジネスPCを中心にハードウェア売り上げが減少し、さらに円安の影響を受けて減益となった。「IT投資は計画に比べ、売り上げで150億円程度、営業利益で40億点程度下振れしている。これは昨年がWindows XPサポート終了切れにともなう買い替え需要があり、その反動が予想よりも大きいこと、Windows Server 2003のサポート終了によるリプレース需要を期待したものの、予測よりもリプレース実施が後ろ倒しになっていることの影響」だと分析している。

 その他の事業は、売上高は前年同期比20.5%減の933億円、営業利益は前年同期から40億円減のマイナス31億円。売り上げはビッグローブの非連結化の影響もあり減収となり、営業利益についても事業の非連結化の影響もあって減益となった。

テレコムキャリア
システムプラットフォーム

セグメント別の通期はいずれも増収を見込む

セグメント別の通期業績見通し

 通期業績見通しのセグメント別では、パブリック売上高は前年比8.3%増の8000億円、営業利益は前年から144億円増の730億円。「消防防災関連、マイナンバー対応が堅調であり、第3四半期までの実績を考えるとかなり保守的な見通しではあるが、期初計画通りとする」(川島氏)。

 エンタープライズ売上高は前年比1.0%増の2750億円、営業利益は前年から25億円増の90億円。流通・サービス業向けで売上増を見込んでおり、さらに費用効率化を進めることで増益を見込む。

 テレコムキャリア売上高は前年比6.1%増の7700億円、営業利益は前年から57億円増の660億円。国内は横ばいとなるが、海外でTOMS、海洋システムなどでの増収を見込んでいるが、「第三四半期までの累計が売上高で50億円程度下振れしており、計画を下回る可能性もある」状況となっている。

 システムプラットフォームは、売上高は前年比0.7%減の7750億円、営業利益は前年から43億円増の350億円。サーバー、ソフトは増加するもののビジネスPC減少の影響が大きく、売上高は減少という見通しとしている。ただし営業利益については、NECフィールディング統合の影響、サーバー、ソフトの売り上げ増で増益を見込んでいるが、「やはり累計売上高が30億円程度下振れしており、厳しい状況でもある」という。

 その他は、売上高は前年比27.7%減の3800億円、営業利器は24億円増の10億円。事業非連結化の影響はあるものの、携帯電話端末事業、エネルギー事業の改善により増益となる見通しだ。

 川島氏は2014年度通期業績見通しについて、「2015中期経営計画実現に向け、2014年度の営業利益1200億円は必達すべき目標。この達成に全力を注ぐ」と話した。

三浦 優子