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日本オラクル、高性能フラッシュ・ストレージ「Oracle FS1」を発表

優れたスケールアウト性能とOracle DBの高速化機能を搭載

「Oracle FS1 Flash Storage System」

 日本オラクル株式会社は23日、記憶媒体としてフラッシュメモリを最大912TB搭載可能なフラッシュストレージ新製品「Oracle FS1 Flash Storage System」(以下、Oracle FS1)を、11月から出荷開始すると発表した。

 「Oracle FS1」は、オラクルのエンジニアド・システムやストレージ製品で培ったフラッシュテクノロジーの実績に基づいて開発された、エンタープライズSAN向けの高性能フラッシュストレージ。オラクルのサーバー、OS、アプリケーション、データベースと組み合わせることで運用効率を最大化できるように設計されている。

 米Oracle フラッシュ・ストレージ・システム担当 バイスプレジデントのボブ・マネス氏は、新製品について、「当社は、これまで5年間にわたって、フラッシュを活用したさまざまなシステムを開発・提供しており、フラッシュテクノロジーのリーダーシップを担ってきた。今回、この6代目の製品として『Oracle FS1』をリリースする。開発にあたっては、フラッシュのパフォーマンスを最大限生かすために、スケールアウト・アーキテクチャを一から練り直した」と述べている。

 具体的には、先進的なスケールアウト・アーキテクチャを採用することにより、ノード数は最大16HAノードまで拡張、記憶容量はペタバイト級のフラッシュ容量まで拡張することが可能となっている。また、最大200万(読み込み・書き込み比率:50対50)のIOPS性能と、毎秒80GBのスループットを実現している。「『Oracle FS1』のパフォーマンスを、同等の競合製品である『EMC XtreamIO』と比較したところ、最大容量は8.6倍、IOPS性能は8倍、書き込みスループットでは9.7倍を達成した。コストについても、TBあたり半分以下のコストを実現している」(マネス氏)という。

米Oracle フラッシュ・ストレージ・システム担当 バイスプレジデントのボブ・マネス氏
「Oracle FS1」と「EMC XtreamIO」とのパフォーマンス比較

 オラクル環境に最適化された設計となっているのも「Oracle FS1」の特徴だ。「Oracle Exadata」やオラクルのストレージ製品のみに備わるデータ圧縮技術「Hybrid Columnar Compression(HCC)」に対応し、競合製品と比較してデータを最大50分の1に圧縮することができるという。「Automatic Data Optimization(ADO)」にも対応しており、圧縮データの最適配置が可能となっている。

 さらに、オラクル独自のインテリジェントなI/O管理ソフトウェア「QoS Plus」を搭載。「『QoS Plus』では、アプリケーションの重要度に応じて、CPUやキャッシュを優先的に割り当てることができる。これにより、ストレージ業界で唯一、ビジネス価値に基づいたI/O管理を可能にした」(マネス氏)としている。また、データの優先度に応じて、ディスクやフラッシュに自動配置する自動階層化機能も備えている。ビジネスの優先度とデータ使用率の組み合わせに基づいて、ストレージメディアへの最適なデータ配置を決定し、TBあたりの読み込み・書き込み性能で高いコストパフォーマンスを発揮する。

「QoS Plus」によるビジネス価値に基づいたI/O管理
「QoS Plus」による優先度に応じたデータの自動階層化

 このほか、「アプリケーション・プロファイル」機能により、「Oracle Database」やオラクルのアプリケーション製品に加え、他社製のソフトウェアでも導入をシンプルにし、複雑なチューニングと管理を自動化するなど、最小の工数でプロビジョニングを行うことができる。また、独自の「ストレージ・ドメイン」機能により、マルチテナント環境に独立した仮想ストレージを構築し、クラウド環境を配備することが可能。1台の筐体にQoSを備えた複数の独自環境を構築することでデータセンターの集約を実現し、電力、冷却、管理などの経費削減を実現する。

 なお、広範なOSとハイパーバイザーをサポートし、「Oracle Linux」、「Oracle Solaris」、「Oracle VM」、「IBM AIX」、「HP-UX」、「Microsoft Windows」、「VMware」に対応している。

日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏

 国内市場における「Oracle FS1」の販売戦略について、日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は、「『Oracle Database』に特化した機能を備えている点にフォーカスし、まずは、『Oracle Database』の高速化ニーズをターゲットに拡販していく。とくに、既存DBサーバーはそのままに、ストレージ部分を高速化できるDB最適化機能HCCやADOを訴求する。そして、ライセンス販売とともにクロスセリングを展開し、顧客価値の最大化を図っていく」との考えを述べた。

 また、「Oracle FS1」のリリースを機に、フラッシュストレージ市場における優位性をさらに訴求していく方針。「顧客が利用している業種アプリケーションの重要性・優先順位を認識できる自動階層化機能『QoS Plus』を通じて、オラクル独自の価値を提供する。これにより、フラッシュストレージ市場でのリーダーシップの地位を確立させる」(飯尾氏)としている。

 パートナービジネスもさらに加速していく考えで、「現在、『Oracle FS1』の発表を受けて、伊藤忠テクノソリューションズ、NEC、新日鉄住金ソリューションズ、NTTデータ先端技術、TIS、菱洋エレクトロなどのパートナー企業が賛同の意を示してくれている。今後、総勢26社の販売パートナーとともに、他社にない競合優位性をアピールし、日本市場での販売展開を推進していく」と意欲を見せた。

 「Oracle FS1」の価格(税別)は、オールフラッシュによる最小構成で937万9559円からとなる予定。

唐沢 正和