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日立、2014年度第1四半期決算は増収増益、「Hitachi Smart Transformation Project」によるコスト削減効果で大幅な利益増

日立製作所 執行役副社長兼CFOの中村豊明氏

 株式会社日立製作所(以下、日立)は7月31日、2014年度第1四半期(2014年4月~6月)の連結業績を発表した。

 連結売上高は前年同期比3%増の2兆1363億円、営業利益は同45%増の801億円、税引前利益は同45%増の851億円、当期純利益は同167%増の288億円となった。

 日立 執行役副社長兼CFOの中村豊明氏は、「売上高は、情報・通信システム、電子装置・システム、社会・産業システム、オートモティブシステムなど8つの部門で前年同期を上回り、増収となった。営業利益については、電子装置・システム、生活・エコシステム、情報・通信システム、オートモティブシステムなど8部門で前年同期を上回り、また社会・産業システム部門が黒字転換を果たし、前年同期比45%の増益を達成した。現在推進している『Hitachi Smart Transformation Project』のコスト削減効果もあり、利益が大きく押し上げられた」と、第1四半期業績の概況を説明した。

 国内売上高は、前年同期比2%増の1兆1067億円、海外売上高が前年同期比3%増の1兆296億円。海外売上高比率は、前年同期から変わらず48%であった。

2014年度第1四半期の連結業績概況
2014年度第1四半期の国内・海外売上高

システムソリューションなどが好調に推移

 事業部門別の業績では、情報・通信システムの売上高が前年同期比8%増の4182億円、営業利益が前年同期から38億円増の39億円。EBITは同28億円増の38億円となった。情報・通信システムのうち、システムソリューションの売上高は前年同期比7%増の2351億円、プラットフォームの売上高は同5%増の1938億円、通信ネットワークの売上高は同14%増の426億円であった。また、ストレージソリューション事業は、売上高が同8%増の1040億円となっている。

 売上高は、公共システムや金融システムを中心としたシステムソリューションやストレージソリューションが好調に推移したことなどにより、部門全体で前年同期比8%の増収となった。営業利益は、売上高の増加に加え、システムソリューションにおける不採算プロジェクトの収束などにより、前年同期に比べ38億円増加し、大幅な増益を達成している。

 電力システムの売上高は前年同期比43%減の879億円、営業損失は前年同期から97億円悪化で155億円の赤字。社会・産業システムの売上高は前年同期比7%増の2864億円、営業利益は前年同期から27億円改善の21億円。電子装置・システムの売上高は前年同期比12%増の2526億円、営業利益は前年同期から126億円増の129億円。建設機械は売上高が前年同期比2%増の1822億円、営業利益は前年同期から5億円悪化の112億円。

 高機能材料の売上高は前年同期比1%増の3400億円、営業利益は前年同期から3億円増の263億円。オートモティブシステムの売上高は前年同期比6%増の2196億円、営業利益は前年同期から21億円増の118億円。生活・エコシステムの売上高が前年同期比7%増の2006億円、営業利益は前年同期から57億円増の85億円。金融サービスの売上高は前年同期比19%増の974億円、営業利益は前年同期から8億円増の91億円。その他(物流・サービス他)部門の売上高は前年同期比5%減の2899億円、営業利益は前年同期から9億円増の58億円となった。

2014年度第1四半期の事業部門別売上高・営業利益・EBIT(1)
2014年度第1四半期の事業部門別売上高・営業利益・EBIT(2)

上期見通しを上方修正、通期は変更なし

2014年度第2四半期連結累計期間の業績見通し

 2014年度第2四半期連結累計期間の業績見通しについては、前回公表値から売上高を500億円上方修正し4兆4500億円、営業利益を100億円上方修正し1850億円、EBITを100億円上方修正し1700億円とした。これにともない、情報・通信システム部門の見通しについても上方修正し、売上高9100億円、営業利益400億円、EBIT350億円を見込んでいる。

 なお、2014年度の通期見通しは、前回公表値から変更せず、売上高9兆4000億円、営業利益5600億円、EBIT5200億円とした。情報・通信システム部門の通期見通しも変更していない。

 現在進めている「2015中期経営計画」の進捗について中村氏は、「社会イノベーション事業のグローバル展開を加速していく。日本では、柏の葉スマートシティを起点としたスマートシティ事業の拡大を図る。また、グローバル経営体制強化として、情報・通信システム事業では、執行役を北米に配置しグローバルサービス事業を強化する。さらに、欧州ビッグデータ事業の強化に向けて、英国インフォメーションマネジメントグループ社を買収した。このほか、グローバル人財マネジメントの推進では、経営目標と個人目標の連動を強化し、パフォーマンスの最大化を図るため、10月から『グローバル・パフォーマンス・マネジメント』を導入する」と述べた。

 また、「Hitachi Smart Transformation Project」の今後の展開にも言及し、「第1四半期は260億円のコスト低減効果を出すことができた。今までは、年間目標を900億円としていたが、この目標を引き上げ、年間1000億円達成を目指す。これに向けた取り組みとして、コスト領域別改革を深化するとともに、E2E全体最適視点での『プロセス改革』加速し、収益力およびキャッシュ創出力を向上していく」との考えを示した。

唐沢 正和