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MM総研のビジネスクラウド総合調査、2014年もNTT Comが最高評価

プライベートクラウドや導入支援・運用などを評価項目に追加

 株式会社MM総研は12日、第2回「ビジネスクラウド総合評価調査」の結果を発表した。この調査は、企業の基幹となる情報システム基盤や、災害時に継続運用できる社会基盤に適したサービスを選定する視点から、各種クラウドサービスを客観的に評価することを目的としたもの。最高水準のAAAサービス(90点以上)には8社が選定され、総合評価のトップには、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の「Bizホスティング」が選ばれている。

プライベートクラウドや導入・運用、セキュリティなどを項目に追加

 同調査は、IaaSおよびPaaSによるクラウドサービスを提供する主要20社のサービスを対象に、2014年1月~2月上旬に行われたもの。「パブリッククラウドのサービス機能・品質」「プライベートクラウドのサービス機能・品質」「サービス料金」「導入支援・運用管理」の4分野について、合計70の項目を評価してポイント化した。その際、評価項目を適正化するため、各企業でクラウドサービスの選定にかかわる1329名を対象に、サービス選定時の重要度を反映し、項目別の重要度を設定した。

 また項目は、プライベートクラウドのサービス機能や導入支援・運用管理、セキュリティ、ハイブリッド環境対応などが加わったことで、前年の43から大きく増加した。格付け基準は、「最高水準に項目基準を満たしており、大変優れた価値が認められる」AAA(90~100点)、「項目基準を高く満たしており、優れた価値を認められる」AA(80~90点未満)から、「項目水準に対して不安がある」C(60点未満)までの5段階。こうしてポイント化されたものに、有識者による審査委員会の検討を経て、総合的なランキングを評価したという。

 今回の対象となった企業は、以下の20社。

 IIJ、IDCフロンティア、アマゾンデータサービスジャパン、NECビッグローブ、NTTコムウェア、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、Google、KDDI、KVH、さくらインターネット、GMOクラウド、ソフトバンクテレコム、ニフティ、日本IBM、日本HP、日本マイクロソフト、日本ユニシス、日立システムズ、富士通、フリービット。

NTT Comがトップ評価、最高レベルのAAAには8社

 調査によると、AAAサービスの評価を獲得したのはNTT Comの「Bizホスティング」を筆頭に全8社。2位以下は、IIJ、日本IBM、富士通、KVH、IDCフロンティア、アマゾン データ サービス ジャパン、GMOクラウドが続いた。

 NTT Comの「Bizホスティング」は、プライベートクラウドのサービス機能・品質、サービス料金、導入支援・運用管理といった分野で高い評価を得て、AAAサービスの中でも、もっとも高い評価を獲得した。

 IIJの「IIJ GIOサービス」や日本IBMの「SmarterCloud」、富士通の「FUJITSU Cloud Initiative」、KVHの「KVHクラウドソリューション」、IDCフロンティアの「IDCフロンティア クラウドサービス」は、パブリッククラウド、プライベートクラウドのサービス機能・品質に加えて、導入支援・運用管理などソリューションサービスが高く評価されている。

 一方、アマゾンデータサービスジャパンの「Amazon Web Services」、GMOクラウドの「GMO クラウド Public / Private」は、パブリッククラウドのサービス機能・品質、サービス料金といった点で高く評価された。

 こうした結果についてMM総研では、「企業の基幹系システムの構築を可能にする、高品質・多機能なサービスを提供する企業が、総合評価AAAを獲得する結果になった」と、プレスリリースの中でコメントしている。

企業名サービス総合評価
1NTT ComBizホスティングAAA
2IIJIIJ GIOサービスAAA
3日本IBMSmarterCloudAAA
4富士通FUJITSU Cloud InitiativeAAA
5KVHKVHクラウドソリューションAAA
6IDCフロンティアIDCフロンティア クラウドサービスAAA
7アマゾンデータサービスジャパンAmazon Web ServicesAAA
8GMOクラウドGMO クラウド Public / PrivateAAA

評価軸は価格から信頼性へ

 分野別の評価ポイントを見ると、「パブリッククラウドのサービス機能・品質」では、サービスの操作性やCPUなどのリソース・サービスの多様性、ネットワーク、信頼性・サポートなど25項目を評価した。この分野では、SoftLayerの買収でサービスを強化した日本IBMをはじめ、IIJ、アマゾンデータサービスジャパン、富士通、IDCフロンティアなどが高い評価を獲得している。

 「プライベートクラウドのサービス機能・品質」でも、パブリッククラウドとほぼ同様の25項目を評価。この分野では、VPN直結のネットワークを含めて信頼性の高いサービスを提供するNTT Comをはじめ、IIJ、富士通、日本IBM、IDCフロンティアなどが高い評価となった。

 「サービス料金」では、パブリッククラウドの最小構成価格、代表的モデル価格、ネットワーク接続料金など6項目が評価され、必要なコンピュータリソースを低価格で利用できるGMOクラウド、さくらインターネット、アマゾンデータサービスジャパンと、ネットワーク接続料金が低いNTT Comが高い評価を受けた。

 最後の「導入支援・運用管理」では、導入支援・運用管理、セキュリティサービス、ハイブリッド環境対応など14項目を評価した。ここでは、導入時のプラン作成や導入後のシステム監視・運用管理、セキュリティサービスなどに強みを持つ日本IBM、IIJ、富士通、KVH、NTT Comなどが高い評価を獲得している。

 なお評価項目では、企業の情報システム基盤としてクラウドの導入が本格化する中で、バックアップサービスやサーバー脆弱性対策、ウイルス対策など、信頼性を確保する機能を重視するユーザーが目立ったとのこと。

 特に、クラウドの導入で先行する従業員数1000名以上の大企業では、料金や操作性よりも、信頼性を確保する機能や導入支援・運用管理サービスを重視する傾向が見られたという。

 また、クラウドを導入する企業がテスト段階から本番へと移行しているのを反映し、プライベートクラウドのサービスが充実してきているのも昨今の傾向で、導入後の運用管理、特にパブリッククラウドやオンプレミスシステムと統合するハイブリッド環境の運用管理品質や、VPN接続の容易さなどが重要なポイントになってきたとのこと。

 さらに、サイバー攻撃への関心がユーザー企業の間で高まっているのに呼応し、セキュリティサービスの充実も目立ってきており、MM総研では、今後の焦点の1つになると想定。「全体的に、コストから品質へと関心が移ってきている」とコメントしている。

石井 一志