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日本IBM、高信頼型のオールフラッシュストレージ「FlashSystem 840」

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は24日、ハイエンドのオールフラッシュストレージ「IBM FlashSystem 840」を発表した。従来製品と比べてストレージ容量を増加させたほか、高い信頼性・可用性やメンテナンス性を備えており、基幹業務などのミッションクリティカルでも十分利用可能という。

 日本IBMでは2013年よりオールフラッシュストレージ「FlashSystem」の提供を開始しているが、この特徴は「(フラッシュメモリをディスクとして利用する)SSDをただ入れたのではなく、明らかにHDDと異なる素材であるフラッシュメモリの性能を発揮させるために、一からデザインしている点」(システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ソリューション部長 ストレージ・ソリューション・エバンジェリストの佐野正和氏)。これによって、最大40万IOPS(当時)という高い性能を提供している。

 また、チップ単位に二次元方向へRAID機能を提供する「2D RAID」や、メモリチップの障害時に、障害を起こしたチップを切り離して構成単位を変化させるRAID(Variable Stripe RAID:VSR)などを提供しており、従来のエンタープライズ向けディスクストレージと比べて遜色(そんしょく)ない可用性を備えているという。

 ただし、既存製品「FlashSystem 820」では最大容量が20TBとなっており、導入を検討した顧客からは、さらなる大容量についての要望があったほか、天板を開けないと保守作業が行えなかったことから、保守の容易性に対する要望もあったとのこと。

システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ソリューション部長 ストレージ・ソリューション・エバンジェリストの佐野正和氏
2D RAID
IBM FlashSystem 840

 そこで、こうしたニーズを踏まえて製品化されたのが、今回発表されたFlashSystem 840である。従来1Uだった筐体は2Uサイズへと変更されたが、容量は最大48TB(Single RAID利用時の論理容量、2D RAID利用時は40TB)へと拡張。2TB/4TBの2つのフラッシュモジュールを選択できるようにし、設置後の容量増設にも対応した。

 また性能も、従来機の約2.2倍となる110万IOPSへと強化。加えて、マイクロコードの更新作業、フラッシュモジュールの交換作業など、ほとんどの交換作業を稼働中に行えるように改善し、24時間365日の稼働を希望するユーザーニーズにも応えられるようになっている。この点について佐野氏は「可用性を上げるために、従来からVSRなど、一部が壊れても動作し続けられる機能を搭載していたが、やはり保守をきちんとしたい、という声があり、それに応えたのが今回の強化だ」と述べている。

 このほか、特に金融業界などからの要望が強いデータ暗号化機能(AES-XTS 256)をサポート。インターフェイスについても、従来のFCとInfiniBandだけでなく、Ethernetを利用した10Gbps FCoE(Fibre Channel over Ethernet)に対応したことで、設置の柔軟性が増したとのこと。

 最小構成(4TB、Single RAID)時の価格は、1576万円(税別)から。

保守の容易性を強化
特に金融業界からの要望が強かったデータ暗号化機能も搭載した

 なお、システム製品事業本部 ストレージセールス事業部長の波多野敦氏によれば、日本IBMでは、フラッシュストレージの適用領域を特に制限しない「Flash Everywhere」戦略を掲げているとのことで、さまざまな領域や製品に対して、外付け、内蔵などの種別を問わず、フラッシュストレージ製品をそろえていく考え。

システム製品事業本部 ストレージセールス事業部長の波多野敦氏
「Flash Everywhere」戦略で展開する

 システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ビジネス開発部長の西川望氏は、フラッシュストレージの適用領域を、1)パフォーマンス面を重視する領域、2)アプリケーションのアーキテクチャに採用する領域、3)エンタープライズストレージとして採用する領域、の3つに区分し、それぞれの領域に対して施策を行っていくとした。

 1)では、FlashSystem導入時のパフォーマンス予測や3年間のコスト比較情報を無償提供するアセスメントや、貸出機、あるいは検証センターによる実機検証を提供。2)については、パートナーとの協業により、パートナー各社が得意とする業種向けのデータベース基盤、DWH(データウェアハウス)、仮想デスクトップ(VDI)といった構築サービスと組み合わせ、ソリューションとして提供するための取り組み「IBM Flashパートナーズ」を開始した。最後の3)では、今回発表したFlashSystem 840を大きな武器として、顧客へ訴求していく。

システム製品事業本部 ストレージセールス事業部 ビジネス開発部長の西川望氏
フラッシュストレージを適用する3つの範囲

 また、3月末までのキャンペーンとして、各領域に向けた戦略製品もラインアップする。1)向けの「FlashSystemエントリー 810 2TB(3年保証モデル)」は390万7840円(税別)。2)向けの「FlashSystem 840 4TB(2TB×2) 3年保証モデル+V5000 12TB」は、2092万9640円(税別)、3)向けの「FlashSystem 840 12TB(2TB×8) 3年保証モデル」が1982万2840円。

 「イメージとして、フラッシュストレージは高いとお客さまに言われることはある。1TBあたりの価格を比較すると、フラッシュメモリはHDDより確かに高い。しかし、見積もってみると『このくらいの価格ですむのか』という誤解があるため、今回はキャンペーンモデルを用意した。また、電気代やラックスペースが減ることや、サーバーノードが減ることによるソフトウェアライセンス削減効果などを含めて比較すると、フラッシュストレージの方が、トータルコストが安くなるケースも多い」(西川氏)。

各領域に向けたキャンペーンモデル

石井 一志