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F5ネットワークス、日本向けに開発したADC「BIG-IP 800」でエントリー市場に参入
BIG-IP v11.4でSDN対応なども強化
（2013/8/29 14:59）
F5ネットワークスジャパン株式会社（以下、F5ネットワークス）は29日、アプリケーションデリバリコントローラ（ADC）である「BIG-IPシリーズ」において、日本市場に向けて開発された新製品「BIG-IP 800」を、9月より提供開始すると発表した。「従来は入り込めていなかったエントリー市場へ、積極的にアタックするための戦略的な製品」（代表取締役社長のアリイ・ヒロシ氏）と位置付けており、これまで培ってきたBIG-IP製品の信頼性などはそのままに、低価格で提供するという。価格は138万円（税別）から。また同時に、BIG-IPのOSであるTMOSについても新版を提供し、BIG-IPソリューションを「BIG-IP v11.4」へと強化する。
現在F5ネットワークスでは、IDC Japanの調査によれば、レイヤ4-7のスイッチ市場では31％のシェアを持っているが、45％程度あるという、ワールドワイドでのシェアに比べればまだまだ低い数字になっている。その一因となっているのが価格を重視するエントリー市場だという。マーケティング本部 シニアソリューションマーケティングマネージャの帆士敏博氏によれば、ミッションクリティカルシステム向けのADCでは50％以上のシェアを持っているというが、市場全体で40％程度を占めると見られているエントリー市場では、ほとんど実績がない。
しかし実際に顧客と話してみると、ニーズがないのではなく、やはり価格が最大のネックになっているとのこと。「ミッションクリティカルでダウンタイムは許されないが、アクセスはそこまで多くないとシステムをお客さまはお持ち。しかし、どうしても予算の都合で当社が対象になってこなかった」とした帆士氏は、この状況を打破するために、競争力のある価格設定をして、日本市場だけに特化したBIG-IP 800を提供するとした。
このBIG-IP 800は、Gigabit Ethernet×6ポートを備え、L7 RPSで10万、L4 HTTPリクエストが17万5000/秒、L4 CPS（コネクション/秒）が6万、L7/L4スループットが1Gbpsと、さほど高い性能は持たないが、TMOSを搭載するなど、機能性や品質はBIG-IPそのままで提供する点が最大の特徴とのこと。
また、製品を単に提供するだけでなく、エントリー向けという、これまでと違った市場にきちんと製品を届けるための施策も順次行う。具体的には、BIG-IPを初めて触るエンジニアでも使えるよう、かんたんセットアップガイドを提供したり、トレーニングを提供したりするなど導入支援策を強化。さらに販売についても、ユーザーに近いところにいる販社や地場のパートナーを獲得したい考えで、現在30社のパートナーを来年度（2014年9月期）までには100社へ拡大するとした。
一方、TMOS v11.4では、ニーズが高まるSDNへの対応を進めるため、VXLAN、NVGREとのゲートウェイ機能をBIG-IPに取り込んだほか、TMOSのコントロールプレーンを自動化し、あらかじめ設定されたポリシーにしたがって、動的にBIG-IPの設定を変更できる「iCall」といった機能を追加している。加えて、複数のBIG-IPをクラスタ化したり、逆に1つのBIG-IPを論理的に分割したりできるScaleN技術を拡張。BIG-IP、VIPRION、仮想アプライアンスをまたがってクラスタ化できるようにした。
このほか、ローエンドの「BIG-IP 2200s」からハイエンドの「BIG-IP 10200v」まで、ハードウェアプラットフォームを一新し、「従来モデルと比べて、コストパフォーマンスを2～7倍に高めている」（帆士氏）とのこと。なおこれらの製品では、同一ハードウェアを利用しているモデルあれば、ライセンスの追加購入によって上位モデルへアップグレードできる「オンデマンドアップグレード」が新たに導入されている。
「今まで入り込めていないローエンド市場を含め、世の中の変化にあわせて、SDN、クラウド、セキュリティといった要素を重視することで、年間30％の成長を遂げたい。2年後には、ADC市場のシェア50％を取りに行く」（アリイ社長）。
