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「デバイス&サービスカンパニーへの転換を図る」~マイクロソフトが2014年度の事業方針を説明

9月までにSurfaceの法人販売を開始、Azureの国内DCは2014年度中に開設へ

代表執行役社長の樋口泰行氏

 日本マイクロソフト株式会社は2日、2013年度(2013年6月期)の報告と2014年度(2014年6月期)の重点施策などを説明する記者会見を開催。代表執行役社長の樋口泰行氏は、「デバイス&サービスカンパニーへ全社を挙げて変革する。また、引き続き日本社会に根付いた会社を目指していく」などと、2014年度の方針を説明した。

 樋口社長はこれまでも、「日本に根付いた企業になるべく、努力する」といったメッセージを繰り返し発信しており、単なる外資企業を超えて日本の社会に貢献したいとの意向を強く示してきた。これからもその軸は変わらないが、Microsoft米国本社と歩調をあわせ、「デバイス&サービスカンパニー」への変化を強く打ち出してきたのが、2014年度の大きな方針となる。

 マイクロソフトといえば、ソフトウェアの企業として広く知られているが、現在ではアプリケーションが1つの中で完結するのではなく、外部と連携したサービスを利用する形に変化しつつある。そうした世の中の変化を受けて、ユーザーの手元にある“デバイス”と、それが接続する“サービス”の両者を強化するというのが、今回の戦略だ。

 このうちデバイスについては、マイクロソフト自身がハードウェアを含めて提供している「Surface RT/Pro」の販売をいっそう強化する考え。樋口社長は、「これまでは、営業の人間がSurfaceを売っても成績にならない状況だったが、今期はこれをあらためたし、営業もコミットメントとして責任を負う体制にした。すべての社員へのSurface RTの配布も完了しており、全員がセールスパーソンとして展開する」と述べ、日本法人も本気で取り組む姿勢を示した。

 また、10社以上のパートナーとの共同マーケティング、アプリケーションの開発支援、OEMベンダーによる小型製品を含めた端末ラインアップの拡充なども実施し、Windows RT/8タブレット市場全体の拡大を図る。

 この戦略の背景にあるのは、Windows 8/8.1タブレットへの自信だ。樋口社長は、「Surfaceは今のところ量販のチャネルで販売しているが、まだまだ店頭での陳列スペースが少ない中でも、先週まで4週連続でiPadの売り上げを超えた」との実績を提示。その上で、「お客さまは、タブレットを買ったものの、多くのことができないことに気が付き始めている。一方でSurfaceはキーボードも周辺機器も使え、Officeが利用でき、セキュリティもしっかりしている。これからタブレット競争のフェーズ2になった時には、Windows 8/8.1ならびにSurfaceへの評価が急速に上がっていくと感じている。今年の年末商戦くらいからは、変わってくるのではないか」と述べ、今後に期待を示した。

 なお、現在は量販店を中心として販売されているSurfaceだが、法人需要の高まりを受け、2013年7~9月の間には、法人チャネルでの本格的な展開を開始することも、今回初めて明らかにされた。きちんとしたチャネルが整備されていない中でも、すでに100件を超える案件が法人市場から生まれているそうで、SurfaceやWindowsデバイスを専門で売る部隊を、30名体制で整備するとのこと。

 樋口社長は、「Surface Proでは従来のWindowsアプリも動くということで、急激に評価が上がっている。法人向けには間もなく提供開始するが、早く話をしたいというお客さまは、ぜひ当社にアプローチしてほしい」と呼びかけた。

ソフトウェアから、デバイス&サービスカンパニーへ
間もなく、Surfaceを法人市場へ展開する

 一方のサービスは、クラウドサービスが中心となる。Windows 8.1ではSkyDriveやBingなど、コンシューマクラウドサービスとの連携がさらに強化されているし、法人向けについても、Windows AzureやOffice 365などにおいて、定期的な強化が行われている。

 特に、国内へのデータセンター設置が発表されていたWindows Azureについては、2014年度中にそのデータセンターが開設される予定であることが明言された。さらには、日本企業が特に重視している品質に対してもこだわる姿勢を示している。樋口社長は、米国に日本法人の担当者を1名常駐させ、米国本社との連携のもとで、さらなる品質向上に取り組むとした。

 加えて、社内横断的な組織として「クラウド推進室」を5名体制で設置することもあわせて発表された。執行役員常務 クラウド事業担当の山賀裕二氏によれば、この組織は、「社内各部署で推進されているクラウド事業の全体像をきちんと把握し、協調させてお客さまにメッセージをお伝えするためのヘッドクォーター的な組織」とのことで、これによって、各部署の営業、サポート、製品担当など、どの立場でも、日本マイクロソフトのクラウドに対するメッセージを適切に発信できるようにしていく考えだ。

 また企業向けでは、引き続きソリューション事業の推進も図る考えで、樋口社長は「日本はほかの先進国に比べてソリューション分野での普及が遅れている。これは、当社が他国に比べて取り組むのが遅れたとか、日本独自のソリューションがたくさんあるなどいくつも理由があるが、逆に言えばまだまだ伸び代があるということ。パートナーと連携して獲得していきたい」と述べている。

 これら以外では、Windows XPの巻き取りを順次進めるのが、2014年度の大きなテーマとなる。こちらは順調に進みつつあるとのことで、4月に大きくアナウンスした結果、Windows XPのサポートが終わることについても周知が進み、置き換えも進行しつつあるとのこと。それでも、まだまだ届いていない領域があると考え、中堅・中小企業に対しては引き続き周知に努めるほか、その次の段階としてコンシューマへのアプローチも行うとしている。

石井 一志