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弥生、クラウドベンチャーとの連携など新技術採用を強化へ

 弥生株式会社は29日、プレスラウンドテーブルを開催。2013年度(2013年9月期)上半期の状況、iPhoneアプリなどを開発するベンチャー企業「クラウドキャスト株式会社」への投資など、今後のビジネス動向について説明した。

業績は好調、弥生13シリーズが大きく伸びる

弥生の岡本浩一郎代表取締役社長

 売上高は昨年初めて100億円の大台を超え、今期も計画の109.6億円が達成できるペースで推移し、デスクトップ向け製品は本数シェアで60.1%、販売金額シェアで72.8%ともに依然として好調となっている。しかし、2012年9月に初のクラウドサービス「やよいの店舗経営オンライン」の提供を開始したが、提供開始から半年で100ユーザー未満にとどまり、「初年度、3000ユーザーに遠く及ばない状況」(岡本浩一郎社長)という。

 このため、サービスの知名度をあげていくとともに、オンラインサービスの第2弾を2013年末までにサービス開始し、巻き返しを図っていく予定。

 また最近登場している、スマートフォンのカメラでレシートを撮影し、データとして取り込むといった新しい動きに対しては、「外部の力を生かすべきエリア」(岡本社長)ととらえ、外部との連携を積極的に進める。

 今年度(2012年10月〜2013年9月)の状況としては、2012年11月30日に発売した「弥生13シリーズ」の販売が好調で、調査会社のデータをもとにした本数シェアで前年の54.0%を大きく上回る60.1%、販売金額シェアでは68.8%から72.8%と上昇した。

 要因となっているのは主力商品である青色申告ソフトと会計ソフトで、青色申告ソフトは本数シェアが67.5%に、会計ソフトは62.0%へと上昇している。

 売り上げも今期目標の109.6億円に向け、「おおむね、期初計画通りに推移している」(岡本社長)という。

マーケットシェアは引き続き向上
競争力がさらに強化
市場伸長を弥生がけん引
今期業績は計画通りに推移

 シェア、売り上げともに好調な背景として、ここ数年続けてきた、中小企業および小規模事業所などを応援するプロジェクトをあげる。同社では青色申告を行う個人事業主を応援する「青色申告応援プロジェクト」を2008年から、起業する上で必要となる会計の基礎を学ぶことを支援する「弥生のそろばん講座」、起業支援プラットフォームであるドリームゲートと協業して開業と事業継続支援を行うサイトなどを提供。また、復興支援活動として弥生製品の無償提供などを実施している。

 「こうした取り組みは、地道なもので、一朝一夕に売り上げが上がることにつながるといったことはないが、ファンを増やしていく地道な活動は売り上げ増を支えるベースとなっている」と岡本社長は分析する。

弥生ならではのスモールビジネス応援とは
スモールビジネス支援のひとつ青色申告プロジェクト
起業応援 開業計画NAVI
起業応援 弥生のそろばん講座

初のクラウドサービス「やよいの店舗経営オンライン」は低調、認知度向上が鍵

 その一方で、昨年スタートした「やよいの店舗経営オンライン」は、半年で獲得ユーザーが100に満たないなど苦戦している。

 この要因について岡本社長は、「認知度の低さが最大の課題。お客さまに浸透できていないうえ、会計士さんとのパートナーシップによって提供するサービスであるにもかかわらず、弥生のパートナーとなっている会計事務所でもこのサービスに対応しているところは5%に満たない。また、機能面での課題もあり、11月には複数店舗への対応を実現するなど機能の充実も進めていく」と説明した。

弥生オンラインの位置づけ
やよいの店舗経営オンライン 導入事例
やよいの店舗経営オンラインの利用状況

 オンラインサービスとしては、新しいサービスを提供する準備を進めている。2013年年末までの提供予定で、新市場に向け、Windows Azureベースであることは店舗経営オンラインと共通しているものの、新サービスは会計事務所を介さず、HTML5ベースのマルチプラットフォームを採用。これまでのWindowsだけでなく、Macintoshユーザーにも利用できるものとなる見込みだという。

オンライン製品第2弾も開発進行中
弥生オンライン第2弾の特長

 さらに新しい動きとして、2011年年末に実施した弥生スマートフォンアプリコンテストでグランプリを取った、クラウドキャスト株式会社と資本提携。2013年4月に2500万円を出資し、岡本社長が社外取締役に就任して協業をさらに深化させる。

 「従来のWindows用デスクトップアプリケーションを提供すれば良かった時代ではなくなっている。しかし、すべてを弥生自身の力でカバーするのは限界がある。オープン・イノベーション戦略をとって外部と積極的に連携していく。クラウドキャストとの協業強化はその第一弾となる」(岡本社長)。

弥生はオープン・イノベーションを進める
弥生の強みと外部の強みを生かした選択を
2008年からスタートした外部との連携

 クラウドキャストは、日本マイクロソフトでSQL Serverなどのサーバー製品の開発を担当していた星川高志社長が2011年に設立した企業で、すでに、弥生会計と連動する「bizNote for 弥生会計」とレシート入力「bizNote Rec」を提供し、2万ダウンロード、うち80%が有料ユーザーという実績を持つ。

弥生スマートフォンアプリコンテスト
クラウドキャストへの出資
クラウドキャストの概要
クラウドキャストの代表取締役社長 星川高志氏

 bizNote for 弥生会計はスマートフォンネイティブなアプリケーションでiOS、Android、Windows Phoneという3つのOSに対応。スマートフォンで入力した情報を弥生会計の勘定科目にマッピングする機能を持っている。

 bizNote Recはレシートの情報を入力するサービスで、スマートフォンのカメラでレシートを撮影。それを送付するとOCRと人力で入力を行う。

 「会計データにつながるものだけに正確さが必要となるため、OCRだけでなく人力によって100%近い精度を実現した。セキュリティの観点から、送られたデータが誰のものかはわからない匿名のものとして対応する」(星川社長)。

bizNoteの紹介
提供する製品の概要
bizNote for 弥生の製品デモ
レシートを撮影し、人力で入力作業も行うbizNote Recではレシートの中の個人情報を消して送信する機能を装備

 今回の協業によって、製品開発、販売の両面で関係を強化していくが、弥生ではクラウドキャスト以外のベンチャー企業との連携も実現する計画で、2億円を用意。「出資も含まない連携も含めて、イノベーションを取り入れていく体制を確立する」(岡本社長)方針だ。

今後の展開
弥生は起業を支援
2億円規模でベンチャーへの出資も実施
$$弥生・岡本社長とクラウドキャスト・星川社長

(三浦 優子)