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トレンドマイクロ、産業制御システムへのサイバー攻撃をおとり調査

攻撃の実態調査レポートを公開

 トレンドマイクロ株式会社は24日、産業制御システムへのサイバー攻撃の実態を調査・分析したレポート「産業制御システムへのサイバー攻撃 実態調査レポート」を公開した。

 同社の調査・研究チームは、調査用に水道施設のインフラ制御システムに見せかけたハニーポッド(おとりのシステム)を作成し、2012年11月にWeb上に公開した。すると、公開からわずか18時間で最初のサイバー攻撃の兆候が見られた。さらに28日間で計39件のサイバー攻撃を確認した。

 攻撃元IPを調べると、最も多いのが中国(約33%)、次いでアメリカ(約18%)からの攻撃で、日本国内からと見られる攻撃も確認された。

 さらに攻撃の内容を分析したところ、水道設備の稼働状況を診断するためのファイルに不正アクセスして改ざんしようとするものや、水ポンプ作動システムを冷却するためのCPUファンの速度を改変しようとするものが含まれていた。

 これらは産業制御システムを乗っ取り、インフラシステムに障害を引き起こそうとする、意図的な攻撃であると推測されるという。このような攻撃が実際のインフラシステムに対して行われた場合、人々の生活に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘。

 また、同じ攻撃者から複数回にわたって実行されていると推測される攻撃活動も確認された。ある脆弱性を狙った攻撃に失敗すると、別の攻撃では別の脆弱性が狙われるなど、成功するまで執拗に攻撃をを続けており、攻撃者は明確な目的を持って攻撃活動を行っていることがうかがえるという。

 同レポートでは、産業別システムへの攻撃活動の調査・分布結果を示すとともに、産業制御システムを保有・運用するユーザー向けに、このような攻撃からシステムを守るために推奨される対策も紹介している。

(川島 弘之)