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2013年の国内企業IT支出、北海道/東北/関東のみ微増~IDC予測

本格的な支出の回復は2015年以降

 IDC Japan株式会社は11日、国内企業向けIT市場(官公庁、教育、一般消費者を除く)の2013年~2016年の地域別予測を発表した。2013年の同市場はプラス成長を維持するが、国内経済は不透明な状況のため、市場規模は9兆8390億円、前年比成長率0.5%と低成長率にとどまると予測する。

 2013年は、海外経済の減速、新興国企業との競争激化などによって、国内経済は以前として不透明な状況が続いている。また、大手製造業の生産拠点の海外移転、または撤退なども相次いでいることから、多くの地域で経済の回復が遅れている。従って、2013年の同市場は、北海道/東北地方、関東地方を除いてマイナス成長を予測している。

 北海道/東北地方では、復興が本格化しているほか、大手企業の拠点の設置が増えていることから、IT支出は堅調に拡大する(前年比成長率1.7%)と予測。関東地方では製造、サービスなどにおいて減速するが、大手金融機関、情報サービス業で積極的なIT支出が継続することからプラス成長(同1.3%)と予測する。

 一方で、これまでIT支出が堅調だった近畿地方では、大阪市などにおける再開発事業が続いているが、近畿地方に拠点を持つ大手製造業の業績悪化の影響が大きいことから、IT支出はマイナス成長(同マイナス0.1%)と予測。なお、2014年はハードウェアの更新需要の谷間のため多くの地域でマイナス成長となり、各地域ともに本格的なIT支出の回復は2015年以降と予測している。

 また、2015年以降の同市場は、各地域でプラス成長に回復するが、関東地方と近畿地方のIT支出は堅調に拡大する一方で、そのほかの地域のIT支出は低い成長率にとどまり二極化が進むと見ている。

 IDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリストの市村仁氏は「今後の市場のさらなる拡大を図るためには関東地方、近畿地方以外の地域のIT支出を底上げするための中長期的な取り組みがITベンダーには求められる」と指摘している。

(川島 弘之)