いやしの里診療所、富士通の電子カルテシステムを導入~中核病院と医療連携


 富士通株式会社は8日、川根本町立いやしの里診療所に、無床診療所向け医事・電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-RX(ホープ イージーメインアールエックス)」を提供したと発表した。同システムは静岡県の広域医療連携ネットワーク「ふじのくにねっと」に接続されており、静岡県立総合病院をはじめとする県内7院の中核病院との間で、診療情報の相互参照が可能となる。

 静岡県では、近年の医師不足や医療機関の都市部集中などによる医療サービスの偏在を解消するため、2011年より県内の中核病院と診療所で患者情報・診療情報を共有できる地域医療ネットワーク「ふじのくにねっと」の構築が進められてきた。「ふじのくにねっと」にはこれまでに静岡県立総合病院をはじめとする県内7院の中核病院が電子カルテシステムを接続し、そのほか90余の医療機関が情報を参照し、医療連携を行っている。

 川根本町は、都市部から自動車で1時間以上を要する山間部の地域で、高齢化率が40%以上と極めて高い上に、町内の診療所は5件のみで医師不足が課題となっており、「ふじのくにねっと」を活用した医療連携が必要とされていた。

 今回、新システムを導入した効果として、従来、ビデオ会議システムを利用した静岡県立総合病院の専門医による診療カンファレンスでは、いやしの里診療所の診療情報をあらかじめ静岡県立総合病院へ郵送していたが、新システムの導入により、専門医はいやしの里診療所での処方・検査結果・放射線画像などの記録やデータ変動分析結果を参照しながら、診療のアドバイスが可能となる。

 また、新システムには、いやしの里診療所での診療記録に加え、診療カンファレンスでの専門医による診療アドバイスも記録されており、静岡県立総合病院側でこれを参照できるため、いやしの里診療所の患者が静岡県立総合病院で診療を受ける際にも、継続的な診療を受けられるという。

 新システムは、富士通の地域医療ネットワーク「HumanBridge EHRソリューション」を活用して構築されており、このソリューションに搭載されている診療情報連携機能により、同ネットワークに接続している病院、および診療期間の電子カルテや検査画像などの参照が可能となる。今回、いやしの里診療所に同社の無床診療所向け医事・電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-RX」を導入し、同ネットワークに接続したことで、県内7院の中核病院といやしの里診療所の間で、電子カルテの相互参照が可能となった。

 今後、川根本町は、同システムの導入を通じて遠隔診療支援モデルを確立し、ほかの診療所にも同様のシステムを導入する計画。

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(川島 弘之)
2012/11/9 06:00