IIJとACCESS、次世代クラウド基盤技術を研究・開発する新会社を設立


 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)と株式会社ACCESSは5日、次世代クラウド環境に最適なプラットフォームの構築を目的に、SDN(Software Defined Network:ネットワーク構成を動的に設定するために、ネットワーク全体をソフトウェアで制御する、新しいコンセプト)を実現するソフトを研究開発する合弁会社「株式会社ストラトスフィア」を設立した。

 昨今、サーバーやストレージの仮想化が進むクラウド環境において、仮想化された計算リソースをシステムとして組み上げるためのネットワークが仮想化に十分対応できていないため、クラウド環境を活用した柔軟なシステム構築が難しい現状がある。

 この課題を解決するため、クラウド上でネットワークの仮想化と運用の自動化を可能にする新技術モデルとしてSDNが注目を集めている。SDNでは、複数の機器で構成されるネットワーク全体をソフトウェアで制御することで、ネットワークの仮想化を実施するコンセプト。場所に依存することなく、分散したデータセンター間でも必要な台数の仮想マシンの増設や移行を、任意のネットワークトポロジーの下で容易に実施できるため、より柔軟なクラウド環境の構築が可能になるという。

 新会社のストラトスフィアでは、SDNをはじめとするネットワーク・モバイル技術分野に長じるACCESSと、クラウド・ネットワーク運用技術に強みを持つIIJが相互に技術者を集め、早期に革新的なプロダクトを投入することで、立ち上がりつつあるネットワーク仮想化市場をリードしていくことを目指す。

 具体的に、SDNに基づく仮想ネットワークからIaaS/PaaS/SaaSまでのクラウド環境全体を統合制御するための基盤ソフトを開発し、それをIIJおよびACCESSの販売チャネルを経由して、データセンター事業者や通信事業者、大規模なEC事業者などを対象に販売する。

 第1弾としては、OpenFlowを基にした、仮想ネットワークの自動設定機能を実装したSDN IaaSのベータ版を今春にリリースし、その後、市場のニーズを反映させた製品版を今秋をめどに提供する。また、並行してSDN IaaSと連携するPaaSの開発も進め、年度内にクラウド環境全体の各層を制御するプラットフォーム製品をそろえる方針。

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(川島 弘之)
2012/4/5 16:41