PPC、サブジェクト指向のBPM製品の最新版を日本市場で販売開始

年明けにはクラウドサービスの提供も


独Metasonic社 CEOのハーバート・キンダーマン氏

 パワードプロセスコンサルティング株式会社(以下、PPC)は17日、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)製品「Metasonic Suite 4」の国内提供を、10月28日より開始すると発表した。

 「Metasonic Suite」は、独Metasonic(旧社名:jCOM1社)が開発した製品で、国内総販売代理店のPPCでは、これまで従来版を「jCOM1(ジェイコムワン) 3.4.0」として提供してきたが、今回の最新版から製品名を「Metasonic Suite 4」に変更し、国内市場への訴求を強化する。

 製品名変更の背景について、独Metasonic社 CEOのハーバート・キンダーマン氏は、「ここ数年、当社は急成長を遂げているが、これを支えているのはドイツテレコムなどの強力な投資家だ。こうした投資家は、当社のグローバル市場での成功に期待を寄せている。しかし、グローバル市場では、『jCOM1』という製品名は利用することができないことがわかった。そこで、これを機に社名を『Metasonic』に変更するとともに、製品名も『Metasonic Suite』に改めた」と説明している。

 「Metasonic Suite」は、業務ユーザー間のコミュニケーションを中心に据えた、人や組織を起点にプロセスを描く「サブジェクト指向」のBPM製品。プロセスモデリングツール「Metasonic Build」、プロセスの確認・検証ツール「Metasonic Proof」、プロセスの実行ツール「Metasonic Flow」の3つのメインコンポーネントで構成され、従来のBPM製品では連携できなかった「プロセスモデル」、「プロセスフロー」、「実行系システム」の統合を実現している。特に、「Metasonic Build」では、わずか5つのシンボルを用いた直感的な操作により、業務ユーザーが自らプロセスの変更やプロセスモデルの作成および最適化が可能で、プロセスモデリングにかかる多くの時間とコストを削減しながらメンテナンス性を向上できるという。


パワードプロセスコンサルティング代表取締役社長の力正俊氏「Metasonic Suite」の位置づけ

 「ビジネスプロセスを見える化し、それを改善していくためのBPMツールが『Metasonic Suite』だ。業務の流れを可視化することが目的ではなく、そのリードタイムを短縮させることにフォーカスを当てたBPMツールとなっている。人の作業による非システム化領域と、システム化領域を1つのプロセスに統合し、業務プロセスの可視化とモニタリングを実現する」と、PPC 代表取締役社長の力正俊氏は「Metasonic Suite」のメリットを強調している。

「Metasonic Suite 4」の特徴

 今回の最新版は、ビジネスルール機能を搭載した新しいビジネスオブジェクトを採用していることが大きな特徴。これにより、クライアント側では「データ形式や表示・非表示のコントロール」、サーバー側では「後続するプロセスに向けた意志決定やデータ処理」など、あらかじめ定義したルールに基づいて、自動的にビジネスロジックを実行できるようになった。ユーザーは、業務そのものや変更に起因する複雑なプロセスの記述を行うことなく、柔軟な統制とダイナミックな管理が可能となる。

 また、最新版では、レポート作成にかかる時間を大幅に短縮するための新機能として、BIRT(Business Intelligence&Reporting Tools)レポートライブラリを用意。これにより、管理者はライブラリをドラッグ&ドロップするだけで、目的に応じた多様な管理レポート作成することができる。このほかにも、ユーザーの使い勝手を向上する機能強化として、「ビュー機能の向上」、「リファインメントエディタの改良」、「モデリングのサポート」を行っている。

 「Metasonic Suite 4」の最小構成ライセンス価格は、約900万円(モデラー1人、プロセスフロー人数20人の場合)となる。

 PPCの力氏は、日本市場に向けた拡販戦略について、「2008年に国内市場での販売を開始した際に、5年間で2万5000社という販売目標を掲げた。このターゲットには大企業だけでなく、中規模・小規模企業も含まれており、目標達成のためには、パートナー販社と協力が不可欠と判断し、チャネルビジネスにフォーカスした販売活動に取り組んでいる。現在のパートナー販社数は8社だが、2012年12月までに20社体制を目指し、国内市場での拡販展開を推進していく」と意欲を見せている。さらに、パートナーとの協業により、年明けには「Metasonic Suite 4」のクラウドサービスを提供開始する予定で、「導入しやすい価格設定にすることで、中小企業まで視野に入れた広い市場を開拓していく」との考えを示した。

 また、グローバル市場における今後の展開について、独Metasonic社のキンダーマン氏は、「近く、日本国内にアジアパシフィックリージョンのリージョナルヘッドクォーターを設置する予定だ。そして、日本市場での成功をグローバルにも拡大していく。まずは、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、インドに拠点を設置し、その後すぐにタイ、ベトナム、中国にも広げていく。国際的ブランドの立ち上げに向けて、日本のパートナー各社のノウハウや文化と、ドイツのエンジニアリングを融合することで、グローバル展開は必ず成功すると確信している」と、力強く語っていた。

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