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三島信金と蒲郡信金、補完業務システムを富士通のクラウド環境に移行

 富士通株式会社は17日、三島信用金庫(以下、三島信金)および蒲郡信用金庫(以下、蒲郡信金)が、信用金庫の勘定系システムとつながるデータベースや帳票ツールなどの補完業務システムをクラウド化したと発表した。なお、信用金庫における補完業務システムのクラウド化は初めての事例という。

 信用金庫における補完業務システムは、勘定系システムから切り出した取引データを用いて、顧客ごとの信用情報やローン試算などを行うためのデータベース、帳票や検索ツールなどから構成されるシステム。富士通も、全国の信用金庫向けに「FUJITSU Financial Services Solution信金補完標準化サービス SK-Force」(以下、SK-Force)を提供している。

 今回、三島信金と蒲郡信金は、それまでオンプレミスで構築していた補完業務システムの「SK-Force」を、富士通のクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」(以下、FJcloud-V)上に移行。信金ごとの帳票ツールなど、独自アプリケーションも含めて環境を構築し、三島信金は8月2日、蒲郡信金は9月6日より稼働を開始した。

 具体的には、「FJcloud-V」上に構築された、FISC(公益財団法人金融情報システムセンター)安全対策基準に準拠している高セキュリティ環境を利用しており、そこと各信金のマシン室を閉域網にて接続した。

 なお、システムは完全な冗長化構成となっており、ハードウェア故障時には即座に切り替わる仕組みを採用。また、台風や地震などの自然災害に対しても、堅牢性の高いファシリティと、災害対策を考慮した安全性の高いデータセンターでの運用により、業務の継続性を向上するとしている。

 一方、クラウド化によってシステムを所有からサービス利用へと転換することで、初期導入コストを大幅に低減する。さらに、システムライフサイクルにおけるハードウェアの更新を気にせず、必要なリソースを利用可能になったとのこと。

 なお今回は、「FJcloud-V」のOracle Databaseライセンスをクラウド環境へ持ち込めるサービス(OVM)を利用することで、既存のOracle Databaseを活用できたため、再投資せずに容易な移行を実現した。

 また、富士通がSIやサポートを含め、ワンストップでクラウド環境を提供するので、これまで課題となっていた信金内のマシン室のシステムの保守から解放され、運用負荷が軽減される点もメリットだ。

 富士通は今後、両信用金庫の補完業務システムだけでなく、データ管理や口座振替、格付け査定など、その他の情報系システムについても「FJcloud-V」でのクラウド化を提案、推進していく考えである。

両信用金庫における補完業務システム「SK-Force」のクラウド化イメージ図