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OSS監視ツールのLTS版「Zabbix 5.0」リリース、さまざまなサービスとの連携機能を標準搭載

 Zabbix Japan合同会社は12日、オープンソース監視ソフトウェア「Zabbix」の新版「同 5.0」をリリースしたと発表した。

 Zabbixは、サーバー、ネットワーク機器、サービス・その他のITリソースを監視・追跡できるよう開発されたオープンソースの監視ソフトウェア。おおむね1年半ごとに安定版が提供され、5年間サポートが提供されるLTS(長期サポート:Long Term Support)と、6カ月ごとに安定版が提供されるポイントリリースの、2つのリリース形態で提供されている。

 今回発表されたZabbix 5.0はLTS版で、リリース後5年間、延長サポートを含めれば最長7年間のサポートが提供される。提供される新機能は、Zabbix 4.2/4.4で実装されたものを含んでおり、前LTSバージョンのZabbix 4.0から大幅に向上した。

 まず、さまざまなITサービス管理(ITSM)、通知、メッセージングのサービスやアプリケーションと連携する機能を標準で搭載した。RedmineやJIRA、ServiceNow、Zendeskなどのチケット管理システムとの連携、Microsoft TeamsやSlackなどへの障害通知連携などを、Webインターフェイスから選択して利用できる。

 また、Docker、Elasticsearch、MySQL、Redis、memcachedなどのアプリケーションの監視プラグインとテンプレートを標準搭載し、アプリケーションの監視を手間なく開始可能な点も特長とのこと。

 なおこれらのサービス/アプリケーション連携や監視テンプレートは、Zabbix 4.2/4.4で導入されZabbix 5.0で機能強化を行った監視データの保存前処理や、通知のWebhook機能により実現されたもの。ユーザーが独自の連携機能やアプリケーション監視機能を作成する場合も、独自のスクリプトの作成などを行うことなく、Webインターフェイスからの設定のみで機能を実現できるとしている。

 加えて、Go言語を利用して新規に開発された新しいZabbixエージェント「Zabbix Agent 2」のWindows版をリリースした。従来、試験的に配布していたLinux版とあわせて正式にサポートを開始する。この新エージェントでは、内部の監視処理の改善により、より柔軟な監視設定が行えるだけでなく、Go言語を利用したプラグインシステムによって、容易に機能拡張できるとのこと。

 今回追加されたアプリケーションの監視機能も、このプラグインシステムを利用しており、アプリケーションの監視機能の実装をより早く、容易に行えるとアピールしている。

 このほか、セキュリティの強化も実施された。監視設定に必要なパスワードやAPIトークンなどを非表示にでき、ほかの管理者に機密情報を開示することなく監視設定を共有可能となったため、システム全体のセキュリティがより向上する。

 また、Zabbixが監視設定や監視データの保存に利用するMySQLやPostgreSQLとの接続に暗号化通信を利用可能。Zabbixアカウントのパスワードのハッシュ値に、より強固なハッシュパスワードを利用したり、Zabbixプログラム間の通信の暗号化通信に、強固な暗号化アルゴリズムを利用するように設定したり、といったことも可能になった。

 さらにはWebインターフェイスのメインメニューデザインを刷新し、ワイドスクリーンに適したユーザーインターフェイスへ改善された。ダッシュボードウィジェットのグラフを画像として保存できる機能、一覧表示のフィルターの強化など、ユーザビリティの改善が行われている。