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ヤマハが待望の仮想ルータ「vRX」を正式発表、まずはAWS版を9月に発売

 ヤマハ株式会社は6日、仮想ルータ「vRX」のソフトウェアライセンスを9月より販売開始すると発表した。まずはAmazon Web Services(AWS)のAmazon Machine Image(AMI)版を提供し、その後、ほかのクラウドサービスや仮想プラットフォームにも順次対応していく予定。

 ヤマハではこれまで、企業向けのルータをハードウェア製品として開発・販売してきたが、新たに仮想ルータ製品を開発していることを明らかにしており、ネットワークの一大イベント「Interop Tokyo 2018/2019」の会場などでのデモ展示を行っていた。

 今回発表された「vRX」はその製品版で、これまでハードウェアとして提供してきたヤマハルータの標準的な機能を搭載しており、ソフトウェアの大半を共通化。ハードウェアルータで高い評価を得ている機能をそのまま使うことによって、さらに柔軟なネットワークに対応する。

 複数の物理拠点、あるいは複数のAmazon Virtual Private Cloud(VPC)を相互に接続するなど、複雑なネットワーク構成もかんたんに構築可能。L2TPやIPsecをサポートしており、スマートフォンやタブレットからのVPN接続にも対応する。また、IPsecのアグレッシブモードをサポートしていることから、固定IPアドレス環境以外に、動的IPアドレスを持つ端末やルータからのVPN接続も可能とした。

 さらに、ハードウェアルータのようにスペックが固定されないため、導入するライセンスやインスタンスタイプによって、速度やVPN対地数といったスペックを、目的のネットワーク規模に応じてスケールできる点も特長だ。

 なお、発表時点で動作保証対象となるEC2インスタンスタイプは、「t3.medium」「C5.large」「C5.xlarge」となっている。

 設定にあたっては、既存ハードウェアルータの大多数のコマンドをそのまま利用可能。ただし、当初はGUIは搭載しない。

ヤマハ仮想ルータ上のshow config結果

 なお、今回提供されるAMI版はAWS上のひとつのインスタンスとして動作するので、AWSのコンソール上から各種サーバーと同じく一元管理可能。ヤマハのネットワーク管理サービス「YNO(Yamaha Network Organizer)」との連携機能も搭載予定となっており、すでにヤマハのハードウェアルータをYNOで管理しているユーザーが、クラウドへ移行後もルータを一元管理できるようにする。

AWSコンソールからの一元管理に対応
YNOとの連携も予定されている

 ライセンスは、速度の上限を定める基本ライセンスと、VPNの対地数を定めるオプションライセンスの2種類から構成され、VPN接続を利用する場合は、双方のライセンスを組み合わせる必要がある。このほか、評価用の無償トライアルライセンスも提供されるとのことだ。

 基本ライセンスは1年間の利用ライセンスとなり、価格(税別)は、10Mbpsが1万6500円、20Mbpsが2万円、100Mbpsが6万2000円、500Mbpsが18万6000円、1Gbpsが30万円、100Gbpsが200万円。

 一方、VPNオプションライセンスは基本ライセンスにひも付ける買い切り型で、ひも付けられた基本ライセンスが有効な間は、追加の課金なしに利用を継続できる。価格(税別)は、10対地が2万円、100対地が18万8000円、500対地が86万円、1000対地が156万円。

 無償のトライアルライセンスは、最大20日間利用でき、速度が10Gbps、VPN対地が100となる予定。