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富士通とマイクロソフトがAI分野で協業、両社のAIテクノロジーを組み合わせた働き方改革ソリューションを共同開発

 富士通株式会社と米Microsoftは22日、AI分野で戦略協業し、両社のAIテクノロジーを組み合わせて、働く人を中心にした働き方改革を実現するソリューションを共同開発すると発表した。

 富士通では、全従業員約16万人を対象として、Office 365をベースとするグローバルに統一されたコミュニケーション基盤を導入するとともに、その社内実践で得た知見やノウハウを生かして、国内約150万人の顧客にグローバルコミュニケーション基盤を提供してきた。

 協業ではこの富士通のノウハウを活用するとともに、Microsoft 365の文書、メールなどのビッグデータを「Microsoft Graph」を通じて集計し、企業内に蓄積されている様々なビッグデータと、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(以下、Zinrai)」、Microsoft Azure上で提供されるAIプラットフォームサービスやMicrosoft 365などを組み合わせ、働く人を中心とした働き方改革を実現する新たなソリューションを共同開発する。

 Microsoft 365を利用することにより蓄積されたビッグデータを、Microsoft Graphを通じて集計することで、これまで見えなかったメールやカレンダーの利用状況を、マイクロソフトの「MyAnalytics」や「Workplace Analytics」などが可視化。Zinraiがメールの内容に含まれる業務の重要性や緊急性を読み取り、重要なタスクは利用者に対応を促す。これにより、利用者は、優先度の高いタスクからスピーディーに対応し、限られた時間の中でアイデア創出などのクリエイティブワークにも注力できるようになる。

 また、マイクロソフトのAIプラットフォームサービス「Microsoft Cognitive Services」や「Microsoft Azure Bot Service」などを使い、富士通の対話型AIや自然文解析技術と組み合わせることで、業務の自動化や省力化を実現。たとえば会議調整などでは、AIとの対話形式により、参加者に共通する空き時間の検索や、参加者の都合を考慮した日時や会議形式、場所などの候補がリストアップできるようになるとしている。

 組織内の優秀な人材や有益な文書を見つけるための手法としては、人やモノのつながりをグラフ構造で表現した知識ベースであるナレッジグラフを活用。人やモノのつながりの特徴をZinraiで解析し、これをナレッジグラフに加えることで、検索したい人やモノとの関連性の強さに基づく高度な情報検索を実現する。これにより、優秀な人材や有益な文書を発掘でき、プロジェクト立ち上げ時の最適なメンバーの選定など、有効な情報活用が可能になる。

 さらに、ナレッジグラフや、富士通研究所が開発したグラフ構造のデータの高精度な解析を可能とする機械学習技術「Deep Tensor」を組み合わせてベンチマークすることで、生産性やモチベーションの高い人、組織、会社がどのような働き方をしているのか、また何がその重要な原因となっているのかを解明することができ、真の働き方改革につなげられるとしている。

 富士通とマイクロソフトでは、共同開発したソリューションについて両社内の複数国で実証を行い、ソリューションの品質強化や導入に向けた知見、ノウハウの蓄積を行った上で、2018年第2四半期(4~6月期)から日本市場でのサービス提供を目指し、順次グローバルに展開していく予定。

 また、共同開発するソリューションの導入コンサルティングサービスに加え、富士通のデジタル革新の実現に向けた共創ワークショップ空間である「富士通デジタル・トランスフォーメーション・センター」や、マイクロソフトの最新テクノロジーを体感できる施設「マイクロソフトテクノロジーセンター」での体験コースを検討していく。

 両社は、既存のOffice 365およびMicrosoft 365の利用者を中心に新規顧客開拓も共同で実施し、2020年までにグローバル市場で新たに2000億円規模のビジネスを開拓することを目指すとしている。