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アビーム、RPAの導入実態について最新調査結果を発表

RPA活用先進企業における悩みとその“処方せん”も紹介

 アビームコンサルティング株式会社(アビーム)は7日、RPA(Robotics Process Automation)に関するメディア向け勉強会を開催した。今回の勉強会では、RPAの導入実態に関する最新の調査結果を発表するとともに、先進のRPA活用事例やRPA活用先進企業における悩みとその処方せんなどについて紹介した。

 アビームコンサルティングでは、日本RPA協会およびRPAテクノロジーズと共同で、今年7月から9月末に、日本におけるRPA導入動向調査を実施した。これは、今年1月から6月に実施した調査に続く、第2回目となるもの。

 まず、RPAの導入件数は、前回調査が35件/月の拡大スピードであったのに対し、今回は50件/月となり、導入スピードが加速していることがわかった。導入企業の業種別データでは、メーカーが42%でトップとなり、前回トップのサービス業からメーカーへの導入拡大がみられた。

RPA導入件数の推移
RPA導入企業の業種別データ

 この結果について、アビーム 戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパルの安部慶喜氏は、「RPAの導入件数は、前回調査よりも速いスピードで増加している。このままのペースで導入が続けば、来年末には1000件を大幅に超えてくると予測される。また、導入企業の業種別データでは、6月まで導入が多かったサービス業を上回り、今回はメーカーでの導入が大幅に増加していた。メーカーの内訳を見ると、電子機器・精密機械から食品、自動車・輸送機器、医薬品・化粧品、建設・不動産、生活雑貨まで、幅広い領域の企業で導入が進んでおり、導入企業全体の業種分布は東証一部の業種構成に近づいた」と分析している。

アビーム 戦略ビジネスユニット 執行役員 プリンシパルの安部慶喜氏

 従業員規模別データでは、従業員数1000人未満の企業からの問い合わせ比率が増加しており、大企業だけでなく中堅以下の企業でもRPAへの関心が高まっていることが伺える。一方で、実際に導入まで至る企業は、前回同様1000人以上の企業が最も多く、約6割を占めた。売上規模では、500億円未満の企業からの問い合わせ件数が増加し、導入検討している企業のすそ野が広がっていることが浮き彫りになった。導入件数についても、100億から500億円の企業での導入が増加していた。

従業員規模別データ(問い合わせ企業)
売上規模別データ(問い合わせ企業)
売上規模別データ(導入企業)

 RPAの導入効果に関しては、前回と同様に、RPAを導入した企業の96%が5割以上の業務工数削減を実現していた。また、導入期間は、導入企業の77%が4週間以内でRPAロボットを導入しており、前回の5割から大幅に増加した。「これは、導入事例が増えたことなどで、具体的な導入方法が広がりつつあるためと思われる」(安部氏)としている。

RPA導入の期間

 次に安部氏は、同社が手がけた先進のRPA活用事例を3つ紹介した。1つ目の事例は、商社による「OCRと連携した紙処理の効率化」。従来まで、売掛金消込処理をすべて手作業で行っていたため、大きな処理工数がかかっていたという。そこで、支払明細書のOCR読み取り、掛金消込処理をRPA化することで省力化を実現。ロボットの作成した掛金消込結果を最終確認しているが、ミスの発生は一度もないとのこと。

RPA活用事例1「OCRと連携した紙処理の効率化」

 2つ目の事例は、エンターテインメント業による「ビッグデータの自動収集・登録の実現」。人手では不可能なRPAの処理能力を生かして、ビッグデータ収集・登録の作業時間短縮・作業頻度向上を実現した。ビッグデータの高頻度取得をRPA化することで、よりタイムリーにイベントの集客向上につながる施策が展開可能になったという。

RPA活用事例2「ビッグデータの自動収集・登録の実現」

 3つ目の事例は、「RPAで海外現地法人の課題解決」。中国現地法人における販売戦略立案のための競合情報収集・集計をRPA化することで、これまで人間が20日を費やしていた業務を1日に短縮。戦略立案のサイクルを短期化した。また、現地スタッフの高離職率、人件費上昇の課題を解決した。

RPA活用事例3「RPAで海外現地法人の課題解決」

 これらの先進事例を踏まえて、安部氏は、「RPA活用における悩みは、本格導入時の『活用促進』と『展開後の運用統制強化』に移りつつある」と指摘する。そして、この悩みに対する処方せんとして、「“RPAの威力”を経営層に具体的に知らしめよ」、「現場の改革意欲に火を点けよ」、「“支援”か“統制”か? スタンスに応じて体制構築せよ」の3つを挙げた。

 「“RPAの威力”を経営層に具体的に知らしめよ」では、経営層に向けて、「実務レベルでの変革」、「業務量削減にとどまらない効果の広がり」、「経営戦略実現に向けたRPAの重要性」という3つのポイントを訴求することで、RPA全社展開の起爆剤にすることを提言した。

 「現場の改革意欲に火を点けよ」については、「RPAが全社レベルに広がるには、一気に全社導入を進める“部門横断パターン”と、ある部署での成功事例が噂になり徐々に導入が全社に波及する“草の根パターン”の2種類があり、大多数の会社では草の根パターンでRPAの普及が進んでいる。部門横断、草の根、いずれのパターンでも、先進企業ではさまざまな工夫を凝らして現場の改革意欲に火を点けている」(安部氏)と説明した。

 「“支援”か“統制”か? スタンスに応じて体制構築せよ」では、「RPAの全社展開時には、組織的活用を支援・統制する機能が企業内に求められ、その機能を持つべき組織には『情報把握型』『支援型』『統制型』の3つの類型が考えられる。そして、各類型の組織は、RPA導入プロセスにおける構想策定/導入/運用・保守の各フェーズで、異なる強度の統制をかけていくことが必要だ」(安部氏)としている。

 最後に安部氏は、「デジタルレイバープラットフォーム」の将来像について、「RPAが『デジタルレイバープラットフォーム』となり、さまざまなアプリケーションの間を柔軟につなぐことで、デジタル時代の短サイクルな事業環境の変化に応じた最適なアプリケーション構成を超高速・低コストで実現することが可能となる。この『デジタルレイバープラットフォーム』を活用して、戦略・業務・ITをより短期間で結びつけることがデジタル時代の経営改革である」との考えを述べた。