インタビュー

SFA/CRMツール導入で失敗しないための5つのポイント
〜ブランドダイアログ ソリューション本部 部長の江戸純哉氏に聞く

ブランドダイアログ株式会社 ソリューション本部 部長の江戸純哉氏

 大手企業を中心に、SFA(営業支援)/CRM(顧客管理)システムを導入・活用し、業務効率化や生産性向上を図る動きが広がってきている。一方で、中小企業にとっては、SFA/CRMという言葉だけは認知されているものの、実際の導入にまではつながっていないのが実状だ。

 また、いざ導入しようと検討段階に入っても、システム構築にかかるコストや工数が見合わず、そこで断念してしまうケースも少なくない。さらには、実際にSFA/CRMシステムを導入してみたものの、「運用負荷がかかりすぎる」、「現場に使われず放置されてしまう」といった失敗事例を耳にすることも多い。

 では、こうした失敗の原因はどこにあるのだろうか。クラウド型のSFA/CRMソリューションを提案し、数多くの成功事例を持つブランドダイアログ株式会社 ソリューション本部 部長の江戸純哉氏に、SFA/CRM導入で失敗しないためのポイントを伺った。

システム管理者の目線だけで選択しない

−−SFA/CRMシステムは大手企業を中心に導入が拡大していますが、中小企業にとってSFA/CRMへの意識は高まっているのでしょうか。

 中小企業にも、SFA/CRMという言葉は認知されつつありますが、まだ浸透しているとはいえないのが実状です。ただ、SFA/CRMを全くやってないというわけではありません。中小企業のほとんどは、Excelを使って営業報告をしたり、顧客管理をしています。これこそが、まさにSFA/CRMになるのですが、SFA/CRMという言葉と業務の実態が結びついていないのが現実だと思います。

−−2000年頃、SFA/CRMシステムは、業務効率化や生産性向上を実現するソリューションとして、大きな注目が集まった時期がありました。しかし、導入した企業では、期待される成果が上がっていないケースも多いと聞きます。なぜなのでしょうか。

 まず、業務効率化や生産性向上という結果ばかりを目指していると、失敗する可能性が高いといえます。この場合、システム管理者の目線で、とにかく高機能のSFA/CRMシステムを導入すればよいという考えに陥り、いわばオーバースペックのツールを選んでしまいがちです。

 その結果、高いコストをかけたにもかかわらず、現場からは「機能が多すぎて、わかりにくい」といった声があがり、やがて使われなくなってしまいます。現場に使われないSFA/CRMシステムは、もはや何の機能も果たせません。運用が部分最適にとどまり、全体最適化に至らないということが導入失敗という結果につながるケースです。

 また、中小企業では、やはりExcelからSFA/CRMシステムへ、一気に業務プロセスを変えようとすると無理が生じます。この場合も、現場から「使いづらい」、「操作になじめない」などの不満が出て、機能は向上しているはずなのに、結局使われずに放置されてしまうことになります。

できるだけ多くのツールを比較し、セミナーなどに足を運ぶ

−−SFA/CRMシステムの導入に失敗する原因の1つに、ツール選びのプロセスがあると。

 そうですね。SFA/CRMのツールを選ぶ際には、できるだけ多くのツールを比較検討することをおすすめします。また、ツールの比較にあたっては、Webサイトから情報収集するだけでは、画面構成や機能面の比較になってしまい、ほとんど横並びになってしまう可能性もあります。そこで、製品説明のセミナーに行ったり、導入相談をするなど、実際にベンダー側の提案を受けてみると、スペック情報だけではわからなかった部分も見えてきます。

 この時、ぜひチェックして欲しいのが、ベンダー側の担当者が、導入企業の業務内容をしっかり把握し、SFA/CRMツールがその業務にマッチングしているかどうかを明確に提示してくるかどうかです。機能や価格ばかりをアピールしてくる場合は、導入しても失敗する可能性が高いでしょう。

 SFA/CRMツールは、あくまで道具にすぎません。重要なのは導入した後、実際に現場のスタッフに使われるかどうか。業種や業態によっては、営業プロセスや顧客管理の方法も異なりますから、その企業にマッチングしたSFA/CRMツールを選ばなければ、運用フェーズで確実につまづくことになります。

システム管理だけでなく、現場における運用の手間を最重視する

−−SFA/CRMシステムの導入に失敗しないためには、ツール選びだけでなく、運用まで意識することが重要ということでしょうか。

 わかりやすく言えば、SFA/CRMツールを導入した後の「運用の手間」を最も重視するとよいでしょう。これは、企業の規模を問わず、どんな業種、業態の企業においても、不動の判断基準といえます。

 たとえば、システム管理者の判断基準だけでSFA/CRMツールを選んだ場合、先ほどのように機能面や設定のしやすさなどを優先して、運用がおろそかになりがちです。とはいえ、現場の意見ばかりを取り入れてしまうと、運用しやくなる一方で、結果として業務改善につながらなくなるケースもあります。

 そのため、SFA/CRMシステムの導入にあたっては、たとえば営業部門での導入であれば、システム管理の担当者と営業部門の管理職、そしてSFA/CRMツールベンダーによるプロジェクトチームを立ち上げ、三位一体になってプロジェクトを推進していくことが成功への近道だと思っています。

 実際に当社でも、この考えに基づいて営業提案を行っています。企業のシステム管理部門と営業部門は、情報交流がなかったり、パワーバランスが異なっていたりと、お互いに意見を出し合うことが難しいケースも少なくありません。この架け橋になるのが、当社のようなSFA/CRMツールベンダーの役割であると考えています。

/営業部門での導入であれば、システム管理の担当者と営業部門の管理職、そしてSFA/CRMツールベンダーによるプロジェクトチームを立ち上げ、三位一体になってプロジェクトを推進していくことが成功への近道

日常的な実業務の流れを洗い出すことが大前提

−−具体的にはどのような営業提案で、SFA/CRMの導入を成功へと導いているのですか。

 まずは、利用中心となる部門においてどのような情報の資産運用がなされているのか、可能な限りの情報提供をしてもらいます。たとえば、作成・提出方法・レポートラインのルール、営業部門が参照する顧客情報の管理方法など。SFA/CRMシステムの導入効果を得るためには、日常的な実業務がどのように動いているかを把握することが大前提です。

 それら提供情報に基づいたうえで、業務分析のマッチングシートを使って、SFA/CRMツールの機能をどう取り入れていくのかを検討し、運用方法や活用方法を定義していきます。このプロセスでフィット&ギャップの明示化を行います。

 Excelを使っている企業を例に挙げると、まずExcelを業務にどう使っているかを洗い出します。すると、「情報を入力する」、「入力した情報を集計する」、「集計したデータを分析する」という3つの役割に切り分けることができます。そして、この3つの役割に対して、SFA/CRMツールの機能を当てはめていくというやり方です。

 これによって、システム上位にならず、かといって現場の要望に流されることなく、実常務に最適化したSFA/CRMシステムを構築することができます。

業務分析のマッチングシートを使って、SFA/CRMツールの機能をどう取り入れていくのかを検討し、運用方法や活用方法を定義する

クラウド型はオンプレミス型より失敗リスクを低減

−−ブランドダイアログではクラウドサービスでSFA/CRMツールを提供しています。オンプレミス型に比べてのメリットは。

 ハードウェア機器を必要としないため、導入から運用までを、低コストでスピーディに行えるのがクラウドサービスの特徴です。また、チューニングした機能・データベースをすぐに確認してもらうことができるので、顧客のニーズにより最適化したSFA/CRMシステムを実現できます。

クラウドはオンプレミスより導入から運用までを低コストでスピーディに行える

 導入から運用までの全体スケジュールを把握した上で、事前にトータルコストを算出できる点もクラウドサービスの大きなメリットといえるでしょう。オンプレミス型では、導入時と納品時のコストにギャップが生じることは珍しくありません。この点で、クラウドサービスは、オンプレミス型よりも、SFA/CRMシステム導入の失敗リスクを低減できると考えています。

−−ありがとうございました。

(唐沢 正和)