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オープンソースビジネスの3つの「P」のフェーズとは? LinuxCon Japan 2016初日基調講演レポート

ブロックチェーンプロジェクト「Hyperledger」の解説も

The Linux Foundationによるブロックチェーンのプロジェクト「Hyperledger」

 2つめの基調講演には、The Linux Foundationのブロックチェーン技術プロジェクト「Hyperledger」のエグザクティブディレクターであるBrian Behlendorf氏が、Hyperledgerプロジェクトを紹介した。Behlendorf氏は、Apache httpサーバーの初代開発者であり、Apache Software Foundationの創設者でもある。

 Behlendorf氏はまず、ブロックチェーン技術について解説した。ブロックチェーンは、ビットコインやイーサリアムなどで知られている。通常の取引のモデルでは、相互のデータベースのレコードを同期して記録するが、国をまたいだ取引など遅延が発生したり一貫性が失なわれたり照合に時間がかかったりする。それに対してブロックチェーンでは、分散した共通の台帳に、追加で記録していく。

 既存のブロックチェーンの問題としては、トランザクション処理速度に制限があることや、それによりバックログがたまってしまうこと、方式の戦い、取引がすべて公開されてしまうことなどがある。

 こうした問題に対してThe Linux Foundationが始めたのがHyperledgerプロジェクトだ。プロジェクトのゴールは、エンタープライズグレードのフレームワークを作ること、健全なコミュニティを作ること、啓蒙して開発者も増やすこと、場を作ってさまざまなベンダーが関われるようにすること、だという。

 Hyperledgerではモジュラー化されたプラガブルなプラットフォームとする。これにより、銀行や証券、政府など、ユースケースやセキュリティ要件の違いに対応するという。

HyperledgerプロジェクトのエグザクティブディレクターであるBrian Behlendorf氏
Hyperledgerプロジェクトの概要
プロジェクトのゴール
モジュラー化されたプラットフォームを作る

 プロジェクトが2015年12月にローンチしてから、30の参加組織と、32のアドオン、600万ドル以上の資金などが集まっているという。「今後、5倍程度に増えると思う。これから報道関係にも説明していく」とBehlendorf氏は語った。

 ここでBehlendorf氏は、Hyperledgerプロジェクトの参加企業とプロジェクト組織を紹介した。エグザクティブディレクターのBehlendorf氏のもと、役員や理事会、コントリビューターからテクニカルステアリングコミッティーなどが設けられている。会員企業はPremierとGeneralの2レベルが設けられている。

 プロジェクトは、下のレイヤーの標準化を対象とし、その上のアプリケーション等は対象外とする。Behlendorf氏は、想定するソフトウェアスタックや、最初のコントリビューション、最初のハッカソンについて言及。そして、2つのプロジェクト「fabric」と「sawtooth-lake」を紹介して、両方とも参加者が増えていると説明した。

プロジェクトへの参加状況
参加企業。JPモルガンもPremiumで名を連ねている
プロジェクトの対象レイヤー
想定するソフトウェアスタック
最初のハッカソン
2つのプロジェクト「fabric」と「sawtooth-lake」