仮想化道場

HPCからクラウド、ビッグデータへと市場を広げていくDataDirect Networks

次世代製品のInfinite Memory Engine

 DDNでは2015年に、Infinite Memory Engine(IME)という新しいメモリシステムを採用した製品を計画している。

 HDDだけを利用していた従来のやり方であれば、100GB/秒のストレージを実現するのには、2160台のHDDを並列に動かすことになる。しかしDDNのIMEを利用すれば、IMEサーバー上の大容量のフラッシュメモリとバックエンドのHDDを効率的に使うことで、HDDの数が1/4ですむという。HDDの数が減ることで、物理的なラック数も少なくなり、消費する電力もHDDのみのシステムに比べると約1/4にまで低減する。

 このようなストレージシステムができれば、企業のデータセンターやクラウドベンダーにとっても魅力的な、高いI/O性能を持ちながら、低消費電力化を図れるシステムが実現する。

 「HPCでも、電力というのは大きな問題になってきています。今後は、コンピュートクラスタからストレージまで含めた、システム全体での省電力性が大きなポイントとなってきます。性能のために電力を無制限に利用できるという状況ではなくなっていくでしょう。HPCにおける新たな要件をクリアすることにより、企業でも、HPC用途に匹敵するパフォーマンスを実現する、コンピュートクラスタや超高速ストレージを導入できるようになるでしょう。コストに関しても、スパコンのトップ500・トップ100に入ることを目的として作られた特別なストレージに膨大な金額を使うのではなく、コストパフォーマンスに優れた企業が導入できるような製品が、今後はポートフォリオの中心となっていくでしょう」(トリンドル氏)。

DDNが2015年に導入を検討している新しいテクノロジーInfinite Memory Engine

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 DDNは、HPCという特殊な分野で成長してきたが、HPCで必要とされ磨いてきたテクノロジーが徐々に企業でも必要とされてきている。

 ビッグデータに関しても、今日は多数のサーバーを用意することで大量のデータを処理しているが、総合性能の高いストレージシステムがあれば、ビッグデータ分野でも導入のメリットは大きい。今後DDNに必要とされるのは、コンパクトで、IOPS性能が抜群に高く、コストパフォーマンスに優れた製品といえるだろう。

 HPC向けといえば、一般に非常に大規模で高額というイメージがつきまとう。したがって、一般企業でも採用しやすい製品ラインラインアップが必要とされており、また企業ITで求められる各種の運用管理機能類についても、これまで以上の実装が求められることになるだろう。

山本 雅史