仮想化道場

ターニングポイントが感じられる2013年のIntelサーバープロセッサ (2013年はサーバープロセッサのターニングポイントになるか?)

2013年はサーバープロセッサのターニングポイントになるか?

 Haswell世代の2/4ソケットサーバー向け(Haswell-EP)は、リリースされるとしても2014年から2015年になるだろう。ただし、このあたりに関しては、ロードマップがはっきりとはしていない。

 クライアント向けには、Broadwell、Skylakeという開発コードのプロセッサが用意されている。Broadwellに関しては、IntelのTick Tock戦略からいえば、現在のHaswellを14nm製造プロセスでシュリンクしたモノになる予定だ。しかしBroadwellは、よりモバイル領域に振ったプロセッサとなるため、サーバー向けにそのまま利用できるか不明だ。サーバー向けに作り直したBroadwell-EPをリリースするため、Haswell-EPはスキップするという話もでてきている。

 このあたりに関しては、筆者も全く分からない。これは、製造プロセスの微細化の難度が高くなってきているためだ。もう1つは、スマートフォンやタブレットなどのプロセッサが半導体の中心になるにつれて、高い消費電力で高い性能を得るのではなく、低い消費電力と発熱の低いプロセッサでほどほどの性能を得るモノにと変わってきているからだろう。

 将来的に、サーバープロセッサもスマートフォンやタブレットなどに引っ張られて、劇的に性能がアップすることはなくなってくるかもしれない。

 また、新しい製造プロセスを開発・展開するコストも問題になってくる。現在のHaswell世代では、トライゲートトランジスタを採用した22nm世代を使用している。次世代のBroadwellでは、14nm世代を利用する予定にしている。

 14nm世代に関しては、22nm世代の製造技術の延長線上にある。しかし、14nm世代以降の10nmや1けた台のプロセスに関しては、半導体の露光システム自体が大きく変化するため、コストも膨大にかかる。このため、今までIntelが行ってきたように、2年ごとに製造プロセスを微細化していくということができるか不明だ。

 また、これほど微細な製造プロセスを使用して、高い性能を必要とするサーバー向けプロセッサができるのか疑問もある。CPUコア数がどんどんと増え、1つのCPUパッケージが消費する電力は大きくなり、発熱も大きくなっていく。

 特に微細化が進めば、CPUの特定スポットに熱が集中することになるかもしれない。こうなってくると、サーバー自体が大きなターニングポイントをむかえるかもしれない。

製造プロセス14nmは、22nmのテクノロジーの延長線上にあるため、プロダクションレベルに近い
Intelでは、10nm以降の7nm、5nmといった製造プロセスの開発を進めているが、生産レベルが見えている状態ではない。まだまだ技術開発フェーズといえる

 IntelのAtomやAMDのOpteron Xを採用した高密度サーバーと同じように、メインストリームのサーバーにおいても、1つのCPUパッケージが搭載するCPUコア数を押さえるか、動作クロックを押さえて、省電力、低発熱化をしていき、サーバーシステム全体で搭載するプロセッサ数を増やしていくことになるかもしれない。

 さらに、このような高密度サーバーにおいては、サーバーOSのアーキテクチャも大きく変わるかもしれない。現在のHadoopのように、小さなノードを多数用意して、処理を行うようになるかもしれない。このようなサーバーデザインでは、プログラムを各ノードにバラして転送し、処理し、結果を集めるといったOSアーキテクチャになる。

 そういった意味でも、2013年~2014年は、サーバーにとっても大きなターニングポイントになる年になる可能性がある。実際に、サーバーが高密度サーバー化し、OSも新しいアーキテクチャに変化するのはまだまだ先かもしれないが、後から見ると、変化の波は2013年から発していた、ということも十分考えられる。

山本 雅史