仮想化道場

メモリスロットに挿すフラッシュストレージ~サンディスクが開発したULLtraDIMM

ULLtraDIMMの構成

 ULLtraDIMMは、SanDiskのフラッシュメモリとコントローラ、さらにDiablo Technologiesが開発したDDR3メモリインターフェイスと、フラッシュコントローラを接続するチップなどによって構成されている。

 ULLtraDIMMのベースとなるMemory Channel Storageというコンセプトと技術を開発したのがDiablo Technologiesで、フラッシュメモリやコントローラ、インターフェイスチップを入れ、DIMMとして製造したのがSanDiskになる。そしてIBMが、ULLtraDIMMをSystem x3850 X6で採用した。

 メモリ規格としてはDDR3 1600MHzが採用されている。ULLtraDIMMのメモリ容量としては、現状では1枚あたり200GBもしくは400GBで、19nmプロセスで製造したMLCタイプのフラッシュメモリが使用されている。

 信頼度を考えれば、MLCタイプのフラッシュメモリで大丈夫なのか?と思ったが、SanDiskによれば、問題ないそうだ。フラッシュメモリを製造している企業だからこそ、MLCのメリット/デメリットを把握した上でフラッシュコントローラを開発しているため、MLCタイプでもエンタープライズのリクエストに足る高い信頼性を実現しているという。

 また、SanDiskの子会社Smart Storage Systemsが開発したGuardianテクノロジーを採用することで、フラッシュドライブのすべての容量を毎日10回書き換えたとしても、5年間運用できる信頼性を持たせた。なおGuardianテクノロジーでは、エンタープライズレベルの高い信頼性を実現するために、コンシューマ用のMLCタイプフラッシュメモリとは異なった、高い信頼性を持つMLCタイプフラッシュメモリを採用している。

 ULLtraDIMMのパフォーマンスとしては、ランダムアクセス性能はリードが150K IOPS、ライトが65K IOPS、書き込みレイテンシは5マイクロ秒以下と、レイテンシはPCIeのフラッシュストレージカードの1/400に高速化されている。転送速度は、リードで1GB/秒、ライトで760MB/秒と非常に高速化されている。

ULLtraDIMMは、SanDiskのフラッシュメモリとコントローラ、Diablo Technologiesのメモリチャネルインターフェイスによって構成されている(出典:SanDisk)
エンタープライズでの利用を前提に、高い信頼性、高性能、故障率の少ないMTBFを実現している(出典:SanDisk)
eXFlashは、メモリスロットにフラッシュメモリを挿すため、PCIeフラッシュストレージやSAS/SATA SSDよりも低遅延のストレージが構成できる。eXFalshは、初回アクセス時は10μ秒ほどかかるが、その後、アクセスが行われると5μ秒までレイテンシが小さくなる(出典:IBM)
eXFlashをネットワークストレージなどのキャッシュとして利用することで(IBM FlashCache Storage Accelerator)、ストレージのボトルネックが縮小する(出典:IBM)

(山本 雅史)