仮想化道場

苦難の2013年を越え、輝かしい2014年に賭けるAMD (大きな期待が寄せられているサーバー向け64ビットARMプロセッサ)

Opteron Xの後継、サーバー向け64ビットARM、現行Opteronの後継の3ラインを提供へ

大きな期待が寄せられているサーバー向け64ビットARMプロセッサ

Seattleは、ARMの64ビットコア Cortex-A57を採用している。8コア、もしくは16コアを内蔵し、10GbE、Freedom Fabricチップを内蔵したSoCとなる

 さらに、2014年のAMDにとって最も注目されるのが、64ビットサーバー向けARMプロセッサの「Seattle(開発コード名)」だ(製造プロセスは28nm)。

 2012年のARMコンファレンスにおいて、AMDがARMの64ビットプロセッサARM Cortex-A57コアのライセンスを受けたと発表された。実際にリリースされる初めての製品が、Seattleとなる。

 Seattleは、Cortex-A57を8個もしくは16個採用した64ビットARMプロセッサで、メモリ容量としては最大128GB。

 これ以外に、ネットワークとして10 Gigabit Ethernet(GbE)を内蔵し(物理チップは別に必要)、AMDが買収したSeaMicroのFreedom Fabricをサポートするチップも内蔵する。このようにSeattleはSoC化されており、ストレージインターフェイスやUSBポートなど、必要なインターフェイスがすべて統合されたものになっている。

 SeattleがGPUコアを搭載するかどうかは現状では不明だ。

 64ビットARMプロセッサの製造は、台湾のTSMCとGlobal Foundriesの両社で行うことができる。Kabiniやデスクトップ用のGPUはTSMCを利用しているが、Opteron 6300/4300やRichlandなどはGlobal Foundriesを使用している。もし、SeattleがGPUコアを搭載しているとすれば、今までGPUを製造しているTSMCを利用することになるだろう。

 個人的には、Seattleはリスクを冒さずに、GPUを統合しないプロセッサとしてリリースされると予測している。10GbEやFreedom FabricチップなどSoCとしてさまざまなインターフェイスを内蔵するため、まずSeattleではGPUコアを搭載せず、次世代の64ビットARMプロセッサではGPUコアと統合するのではないか。

 将来的には、x86APUでも、64ビットARMでも、同じ開発ツールでGPGPUアプリケーションが開発できるようになるだろう。最終的に、作成されるバイナリがx86か、64ビットARMかの違いだけになるだろう。このようになれば、AMDがx86とARMプロセッサをリリースするメリットが大きく出てくると筆者は考えている。

2014年のサーバー分野は、パフォーマンスを重視した従来型ITに向けたプロセッサ、パフォーマンスと消費電力のバランスをとったクラウド向けのプロセッサに分かれる
AMDの2014年のロードマップは、従来型サーバー向けのWarsaw、Opteron Xの後継となるBerlin、64ビットARMプロセッサのSeattleが計画されている

山本 雅史