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富士通エフサスが非ICT領域を攻める理由とは?~今井社長に新たな事業への挑戦を聞く (エスプレッソマシンも取扱品目に)

エスプレッソマシンも取扱品目に

 オフィスまるごとイノベーションは、内田洋行、イトーキ、コクヨファニチャーなどの大手オフィス家具メーカーと連携。企画段階から、企業の経営層、総務部門、現場部門をつなぎ、ワークスタイルビジョンである「あるべき姿/ありたい姿」を共創してオフィス構築を進めるものになるという。また、オフィスリニューアル後も継続して、ワークスタイル変革を支援していくという。

 具体的には、オフィスリニューアルの企画から設計、導入・展開、保守・運用までを「まるごと」受託することで、ユーザーの負担を軽減。現場入居部門のワークスタイル調査および分析をもとに、「経営層の経営ビジョン」、「現場入居部門の要望」、「総務部門・IT部門の解決案」をつなぐためのワークショップを開催し、ユーザー固有の「あるべき姿/ありたい姿」を抽出した「ワークスタイルビジョン」を策定。「ワークスタイルビジョン」で導き出した課題や要件に対し、ICT視点で働き方をデザインし、大手オフィス家具メーカーが得意とするファニチャー、ファシリティ、照明、内装などを活用した空間デザインとを融合させることで、ICTの良さと空間デザインの両面から、活気ある快適なオフィスを提案するという。

 ここでは、スマートデバイス、無線接続ネットワークに加え、Microsoft Lyncによるプレゼンス確認、Web会議などのコミュニケーション基盤を用いる一方、カフェのような窓際のハイカウンター、ファミレスのようなボックスシート、スタジオのようなミーティングフロアなどの導入提案を行い、フリーアドレス型オフィスの実現なども行うという。

 さらに、デスクワーク、ミーティング、テレワークなどのソリューションごとに、ICTおよびファシリティの両面から、業務効率化、スピードアップ、ペーパーレスなどにつなげることができる製品やシステムを、マルチベンダー環境で提案。ICTシステムの安定稼働のほか、ネットワークの最適化、最新セキュリティ対策、環境負荷低減対策などにより、事業継続を支えるという。

 「照明制御による社内の快適空間の実現、蓄電システムを活用した安定稼働などのほか、長時間残業の抑止に向けたソリューションの提案、エスプレッソマシンや置き菓子などの導入によるリフレッシュゾーンの提案、非常用品に至るまで、富士通エフサスが提案することになる」とする。

 つまり、エスプレッソマシンや置き菓子までが、富士通エフサスの取り扱い製品になるというわけだ。

 そして、オフィスまるごとイノベーションの提案には、6月に開設したみなとみらいInnovation & Future Centerのほか、神奈川県武蔵小杉の小杉タワープレイスに移転した同社パーソナルエコーセンター、9月までに移転を完了する東京・銀座の同社銀座G7ビルのオフィスリニューアル、11月に予定している大阪・天満橋の大阪アメニティパーク(OAP)から、大阪・京橋の大阪ビジネスパーク(OBP)への拠点移転などにおける自社のリニューアル実績も、反映することになる。

 同社では、オフィスまるごとイノベーションによって、2016年度末までに150億円の売上高を目標にするという。

 「ターゲットとなるのは、1フロアから10フロア程度のオフィスを持つ中堅、大手企業となる。富士通エフサスの社員が、お客さまの課題を、より広範に、より深いところで気がつくことが必要となる。そのために、社員の気づきのスキルを高めていかなくてはならない。自らのリニューアルの実践や、みなとみらいInnovation & Future Centerの活用を通じて、変革していくことが必要」だとする。

 このように、富士通エフサスは、非ICT領域の分野にも乗り出すことで、事業の継続的な成長に取り組むことになる。

 ただ、ここでは単にオフィスリニューアルに挑むというわけではない。富士通エフサスの新たな挑戦は、ICTのノウハウを生かしながら、非ICT領域へと歩みを進める取り組みとなる。

 「オフィスのことは、なんでも富士通エフサスに頼めば安心して任せられる、というように言われたい」と今井社長。これまでに実績を持つICT領域だけでなく、非ICT領域においても、こうしたイメージをいかに早く作り上げることができるかが鍵だ。