大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

サポート終了まであと10カ月、クラウドがWindows Server 2003移行の切り札になる? (SIerとの連携による移行支援などを提供)

SIerとの連携による移行支援などを提供

 だが、日本マイクロソフトの藤本部長は、「日本の企業では、システムの管理や移行計画を、SIerに委託しているユーザー企業も多い。そうした企業は、自ら移行計画などを策定していなくても、期限までの移行が完了できる可能性が高い。その点では、事実上、移行方針を持っていないユーザー企業はもっと少ないと考えている」と話す。また、「これまでにSIerなどのパートナーを対象に、1万3000人のトレーニングを実施。これにより、パートナーを通じた移行提案を全国規模で行えるベースが構築できている」のだという。

 Windows Server 2003からの移行ソリューションも、100社以上のパートナーから用意されているほか、日本マイクロソフトも、2015年7月15日までを「サーバー移行支援強化期間」として数々の施策を用意しており、移行支援体制を強化している。

 例えば、予算の問題で移行の検討が困難な企業に対して、サーバーの調達を今年度中に済ませ、来年度以降の予算で支払うか、優遇金利での分割支払いを選択することができる費用支払い支援サービス「サーバー購入支援キャンペーン」を実施。

 中堅・中小企業のサーバー移行を支援するため、Windows Server 2012 R2およびクライアントアクセスライセンス(CAL)のオープンライセンス価格を10%引きで提供する「Windows Server 2003移行促進キャンペーン」も、9月30日まで実施されている。「今後も、継続的に新たなキャンペーンを用意し、Windows Server 2003からの移行を支援していく」(藤本部長)そうで、10月の早い段階からは新たなキャンペーンが実施されることになりそうだ。

SIerを移行支援パートナーとして、共同で移行支援を推進している

 さらに、「全国の商工会議所などと連携することで、Windows Server 2003から移行しないことのリスクを正しく理解していないユーザー企業に対し、さらに訴求していくことも考えている」とする。日本マイクロソフトやパートナーからのリーチでは届かないような企業に対する訴求活動を強化することが、今後の課題だと考えているようだ。商工会議所などを通じた訴求活動は、そうした点で効果を発揮するだろう。

 そのほか、エンドユーザーおよびパートナーの問い合わせ窓口として、Windows Server 2003移行相談窓口「Cloud Direct」(0120-39-8185)を設置しているほか、移行に関する情報を一元的に提供する「Windows Server 2003移行ポータル」を用意。Windows Server 2003移行ガイドブックを作成し、ユーザー企業の移行に関する情報提供を強化してサポートしていく考えだ。

 日本マイクロソフトでは、移行計画のための相談や、実際の移行作業の際に何をすべきか、といったように、ユーザー企業各社が持つ課題にあわせて、適切なパートナーを紹介。オンプレミスおよびクラウドを活用した、適材適所の最適な移行提案を行う体制を整えているという。

 「どこから手をつけていいかわからないという企業もまだ多い。Windows Server 2003からの移行に関してわからないことがあれば、日本マイクロソフトおよび近くのパートナー企業に相談してほしい」としている。

日本マイクロソフトの相談窓口
日本マイクロソフトでは、移行ガイドブックやステッカーなどを配布し、啓発活動を行っている

(大河原 克行)