大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

Dell EMC Worldで明らかになったDell Technologiesの“3つのポイント”

DellとEMCの統合による最大の成果

 そして、HCIやSDSに強力に踏み出すことができるようになったことは、DellとEMCの統合による最大の成果だといっていい。

 第14世代PowerEdgeは、DellとIntelの長年にわたる緊密な関係によって実現したものであり、3年前から開発を開始し、他社に先駆けて、いち早くこれを発表してみせた。

 具体的なスペックが明らかにならなかったり、展示会場でも写真撮影が禁止されたりするなど、早すぎた発表の弊害はあるものの、それでも、この分野におけるDellの立場の強さを示すことには変わりはない。

 そのサーバーを「岩盤」に位置づけ、EMCのストレージ製品群、VMwareの仮想化技術、さらにはネットワークやセキュリティなどを組み合わせることができるのは、Dell Technologiesの総合力によるものだいえる。

 「HCIやSDSでは、HP、Lenovo、HDS(Hitachi Data Systems)、NetAppが競合となる。Dell Technologiesの総合力によって、これらのベンダーに勝つことができる」と、ゴールデン プレジデントは自信をみせる。

 2016年10月に米国オースティンで開催されたDell EMC Worldでは、統合から6週間という短期間で、VxRailおよびVxRailを発表し、スピード感を持った協業成果を示したが、今回のDell EMC Worldでは、それがさらに加速していることを示すものになったのは確かだ。

 一方で、HCIで特筆しておきたいのが、NutanixのXpressモデルに対応した製品を新たに発表した点だ。これは、ひっそりと発表されていたものであるが、VMwareとの緊密な関係構築が続くなかでも、継続的にNutanixの新製品を投入したこと、しかも、中小企業をターゲットとする製品であり、この領域はもともとDellが得意とする分野であることを考えると、今後のDellのHCI戦略においても興味深い存在になるといえそうだ。

 関係者によると、この製品は、当初、Dell EMC Worldでの発表案件のなかには含まれていなかったという。

 「顧客の声を聞いて、それを製品として提供するのが、Dellの基本姿勢」(ゴールデン プレジデント)ということと照らし合わせれば、顧客の要求をもとにラインアップに急きょ加えたといえなくもない。その点からも、隠れた戦略性のようなものを感じざるを得ない。