大河原克行のキーマンウォッチ

なぜ、Lenovoはx86サーバー事業を買収したのか?~日本法人のロードリック・ラピン社長を直撃 (日本のユーザーの声に耳を傾ける)

日本におけるクラウド事業も開始へ

日本のユーザーの声に耳を傾ける

――日本では、日本IBMのx86サーバーが、レノボに移管することで不安感を持つ声も聞かれます。保守サービスに関しては、今後5年間は日本IBMが行うということが発表されましたが、5年目以降はどうなるのかという声もあります。

 レノボ・ジャパンは、お客さまの声には真剣に耳を傾け、これまでと同じ、あるいはこれまで以上のサポートを行っていくように投資をしていく方針です。日本IBMが保守サービスを提供するのは、最低5年間となります。つまり、言い換えれば、5年以上という可能性もあるわけです。製品に関しては、Lenovoが継続的に製品を供給し、ラインアップを拡充していくことをお約束します。

 その一方で、保守サービスに関しては、お客さまの声を聞き、継続的に日本IBMから提供してほしいということであれば、それを継続することになるでしょう。5年後にどうするのか、ということは現時点ではわかりません。お客さまの声を聞きながら判断していきたいと思っています。

 今後も、日本IBMのソリューションや保守サポート、保証は継続的に提供することになります。その点はぜひ安心してください。そして、お客さまが満足するものを提供していきたいと考えています。Lenovoは、事業統合の経験が多く、それを成功させてきた。これはレノボのDNAといえるものです。では、なぜLenovoは、事業統合を成功させてきたのか。それはやはり、お客さまの声を聞き、技術、サービスもそれにあわせて対応し、進化させることにこだわってきたからです。

 日本においても、過去の実績から、お客さまの声を必ず反映させていくという姿勢が、実行されているということをわかっていただけると思います。NECパーソナルコンピュータの例をあげれば、NECブランドのコンシューマ向けPCの上位モデルでは、複数のテレビ番組を同時録画できるようになっています。これは日本市場に特化した機能であり、Lenovoのグローバル製品では搭載されていない機能です。しかし、日本のお客さまの声を聞くと、これが極めて重要な機能であることがわかる。お客さまが求めていることを、きちっと提供することを、行動で示していきたいですね。

――IBMのx86サーバーを取り扱っていた販売パートナーへの支援体制はどうなっていきますか。

 認可前ですから、現時点では、日本IBMと一緒にパートナー向けの説明を行うことはできませんし、レノボ・ジャパン単独としても、パートナープログラムのようなものを提示することもできません。

 しかし、基本的には、IBMのx86サーバーを取り扱ってきた販売パートナーとは、しっかりと手を組んでいきたいと考えています。もちろん、販売パートナーとの具体的な話し合いはこれからになりますから、現時点では、x86サーバーを扱っていたパートナーのすべてがLenovoから提供するサーバー製品を扱うのかどうか、といったことはまだわかりません。

 それでも、われわれがこの製品に関して本気でコミットしていくことは、まず明確にお伝えしたいと考えています。日本IBMのx86サーバーの販売パートナーの多くは、当社のThinkPadも取り扱っていますから、当社の姿勢についてもかなり理解をしていただいていることも強みになります。

 一方で、日本IBMが持つアカウント営業ともしっかりと手を組んでいきますので、大手のお客さまに対しても、継続的な販売、サポートが可能になります。

 レノボ・ジャパンは、NECパーソナルコンピュータとのジョイントベンチャーにおいて、効率化によって生まれた利益を、お客さまやパートナーに、再投資していくというサイクルを作り、成長を遂げてきた経験があります。これと同じことを、x86サーバーにおいても進めていきたいと考えています。

――x86サーバー事業に関して、具体的な事業方針などを日本で発表するタイミングはいつになりますか。

 これも当局の認可を待って、その後契約を締結したあとになりますが、個人的な希望をいえば、今年中旬から後半にかけてということになります。いまは、日本IBMのサーバー事業を率いている日本IBM システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部の小林泰子氏とは、毎週お会いして、お互いの意見を交換しているところです。

(大河原 克行)