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Intelを脅かす? 注目のOpenPOWERサーバー

Intel依存を軽減?

 BloombergはRackspaceの動きは「Intel依存を軽減する目的」のものと伝えている。Intelのサーバー向けチップのシェアは98%だが、「この動きは、RackspaceらがサーバーチップでのIntel依存度を下げようとするものだ」と解説している。また、Sullivan氏はPOWERのメリットとして「IntelよりもPOWERのほうが、プロセッサのベースのソフトウェアを管理できる。Intelチップに代わる代替案となっている」「非常に効率に優れ、性能面でのメリットがある」と評価しているという。

 IBMは今年、新世代の「POWER8」を発表したが、Value WalkはこれでIntel Xeonとの互換性が強化された点を取り上げている。実際、RackspaceのSullivan氏によると、POWERチップは同社のソフトウェアと完全な互換性があったという。一方で、Intelのライバルと見られているARMについては、検証の結果が思わしくなかったと明かしている。

 Value Walkは、Rackspaceの動きについて、「チップという点で、技術業界に選択肢が広がっていることを意味する。Intelにとっては、ライバルの脅威が増しているという警告になりうる」と述べている。

 IntelベースからPOWERベースへの乗り換えは、Rackspaceが初めてではない。設立当時からOpenPOWERに参加しているGoogleは今年4月、POWER8ベースのマザーボードを公開した。大規模なデータセンターを持ち、技術力にも定評のあるGoogleはIntelにとって重要であり、規模的にも5番目に大きな顧客という。このGoogleのPOWER8サポートは、単に売り上げだけでなくマーケティング面でもIntelに打撃を与えたとの見方もある。

 Wiredはこのとき、「Googleが時間を費やして自分たちのソフトウェアをIBMアーキテクチャに移植し、さらにはIBMプロセッサベースのマザーボードを設計して公開したという事実は、非常に大きな意味を持つ」と記した。記事では、スマートフォンやタブレットなどのモバイル分野ではARMがかなりのシェアを占め、Intelが後塵を拝している点にも触れながら、Intelの今後への不安材料としている。

 Rackspaceは、オープンなアプローチへの理解と活用では実績がある。同社は、“クラウドのLinux”を目指すIaaS基盤「OpenStack」をNASAと共同で開発し、オープンにした。またデータセンターのサーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウェア設計仕様をオープンにするFacebookの「Open Compute Project」にも参加している。

(岡田陽子=Infostand)