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AppleとIBMのモバイルアプリ登場 ビッグ連合始動

アナリストからは高評価

 調査会社の調べでは、オフィスや業務にはモバイル端末が浸透し、企業のIT部門の多くが従業員の生産性や効率アップのためのモバイルアプリ開発を優先課題としている。

 Lopez Researchによると、企業の75%が「10種類、またはそれ以上のモバイルアプリを今後12カ月以内に構築する計画」と回答しているという。Lopez Researchの創業者、Maribel Lopez氏がForbesへの寄稿で述べたものだ。American ExpressとCFO Researchの調査では、「IT支出増につながる最も重要なニーズ」でモバイルを挙げた財務担当は25%いた、とThe Streetも紹介している。

 半面、モバイルを第一に開発する「モバイルファースト」は難しいようだ。Lopez氏は課題として、業務用モバイルアプリではエンタープライズシステムとの統合、モバイルデバイス管理(MDM)、セキュリティなどの要件があり、新しい開発ツールも必要だと指摘している。「エンタープライズの“モバイルファースト”は単に見栄えの良いGUIだけでは不十分」であり、「ITは苦しい選択肢からなんとか選ぼうとしている」とIT担当が置かれている状況を解説する。

 IBMとAppleはここに着目した。「IBM BlueMix」「IBM Cloud Marketplace」などのアプリ開発ソリューションを提供し、アプリのライフサイクル管理を支援する。これに、Appleのお家芸である使いやすさ、優れたインターフェイスが加わるという仕掛けだ。IBMのグローバルビジネスサービス事業部上級バイスプレジデントのBridget van Kralingen氏は「仕事、仕事の役割の変革」を目指した、とNew York Timesに語っている。

 実際の評価は上々だ。Gartnerのアナリストは、「バックエンドシステムの一部に拡大して統合し、簡単に使える体験を重ねた。これまでの流れを変える潜在性を持つ」とNew York Timesにコメント。Seeking Alphaも「アプリを実際に見たアナリストらは感心していた」と伝えている。

 Lopez氏は業務用モバイルアプリに必要なポイントとして「見栄えが良く、しかもきちんと処理ができる」「ターゲットを明確に絞る」「直感的」「コンテクストに沿った」「学習機能があり予測できる」を挙げている。そしてAppleとIBMのIBM MobileFirst for iOSは「これらをほぼすべて満たしている」と高く評価した。

(岡田陽子=Infostand)