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基本に戻った新しいWindows 「Windows 10」発表

WindowsがMicrosoftの顔でなくなる日

 Windows 10は発表になったとはいえ、不明な点もたくさんある。リリース日はいつなのか、価格体系はどうなるのか――などだ。Windows 9として憶測が流れていた時期、「MicrosoftはWindows 8.1とWindows 7 SP1のユーザーにWindows 9(=Windows 10)の無償アップグレードを提供する」との見方が出ていたが、これらについては明かされていない。

 ITProPortalはこのほか、「クロスプラットフォーム体験を提供というが、Windows Phone 8ユーザーが自分の端末をWindows 10にアップグレードするようなことはできるのか?」との疑問を挙げている。

 Microsoftウォッチャーの間では評価の高いWindows 10だが、それが市場での成功につながるかは別だ。大きな課題は、企業ユーザーがアップグレードする気になるかだろう。4月のWindows XPの延長サポート終了後、Windows 8にアップグレードするユーザーは少なく、Windows 7を選ぶ顧客も多い。教育分野を中心にシェアを伸ばすGoogleの「Chrome OS」など他の選択肢も登場しており、既存顧客の企業ユーザーを引きつけておく必要がある。

 企業のタブレット利用は2013年に33%増加したとMyerson氏は述べているが、コンシューマライゼーション、IBMとAppleの提携など、Microsoftの牙城だったエンタープライズ市場が安泰とはいえない。

 一方で、デバイスとサービス、クラウドとモバイルを強化するMicrosoftにとって、Windows OSの重要性は低くなっていくのかもしれない。実際に、同社でクラウドを統括するScott Guthrie氏は同時期に掲載されたFortuneのインタビュー記事で、「Azure」や「Office 365」の成功をアピールしている。記事のタイトルは「Microsoftの成長の鍵を握るのはWindows 10ではなくクラウドだ」である。クラウドサービス事業は年147%の成長率で拡大し、Microsoftでは最も急成長中の事業という。

 MicrosoftはWindows 10発表の翌日、Windows 10のテクニカルプレビューを公開するとともに、Officeファミリーに加わる新しいプレゼンツール「Sway」を発表した。Swayはクラウドを活用して、マルチデバイスで直感的に洗練されたインタラクティブな資料を作成する新しいタイプのツールとなっている。Windows OSはMicrosoftのアイデンティティだが、社内外でOSのローンチが、かつてほどのインパクトを持たない時代を自ら受け入れつつあるようにも見える。

岡田陽子=Infostand