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基本に戻った新しいWindows 「Windows 10」発表

基本に立ち返ってエンタープライズにフォーカス

 9月30日の発表では、Windows 10のエンタープライズにフォーカスした機能が紹介された。Thurrott氏によると、2015年初めにはコンシューマー、4月には開発者にそれぞれフォーカスしたマイルストーンを公開する予定という。MicrosoftはWindows 10で、自社が得意とするエンタープライズに照準を合わせているようだ。

 企業のITにフォーカスした機能を紹介したEnderle氏によると、例えば、企業は業務用アプリのための自社アプリストアとMicrosoftのアカウントで利用する私用アプリのためのアプリストアとを混在させながら、業務側についてはリモートワイプなどのIT管理ができるという。また、マルチデバイスで重要なデバイス管理機能、指紋認証だけでなく顔や虹彩を用いた認証が可能となったバイオメトリクス認証なども加わる。

 Enderle氏はCIOやIT部門が「きっとWindows 10が気に入るだろう」と太鼓判を押す。ZDNetは、IDとアクセス管理用のクラウドサービス「Azure Active Directory(AD)」をログオン、ストアアプリの入手などに利用できる計画なども紹介し、「まだエンタープライズ向け機能の10%しか明かされていない」として、重要な機能が今後登場すると予想した。

 企業顧客へのフォーカスは、UIの改善にも現れている。Thurrott氏は、スタートメニュー、タスクバー、タッチインターフェイスなどはWindows 7とWindows 8の両方からのアップグレード顧客にメリットを提供すると分析する。

 エンタープライズへのフォーカスとモバイルファースト/クラウドファーストについてITProPortalは「現実は、複数台の端末を取り換えながら利用すること関心を持つ人は少なく、デスクトップ/ノートPCでちゃんと動くOSを求めている」とし、「一から構築し直したが、Windows 10は一見Windows 8に似ている」と皮肉っぽく述べている。

 Windows 10の開発手法に着目するウォッチャーも多い。Mary Jo Foley氏はMyerson氏のOSグループが、新しいユーザーフィードバック、テストを導入して開発を進めているとの情報を紹介。「Asimov」というリアルタイムのテレメトリー・システムを構築しているという。AsimovはXboxチームが開発プロセスで利用していたものというが、これによって新機能のテストとロールアウトを短縮し、開発を迅速かつ柔軟にできるという。

 The VergeもAsimovに触れ、MicrosoftはWindows 10の技術プレビューを頻繁にアップデートすると予測する。Windows 8の二の舞を防ぐため、Microsoftはフィードバックの仕組みを用意する。その結果、登場が予定されている2015年に製品としてお目見えするWindows 10は、現在とはかなり違ったものになるだろうという。

 The VergeはこのようなMicrosoftの姿勢を高く評価し、「Microsoftが披露したのは改善された最新のWindowsではない。Windowsを利用するユーザーへの理解だ」と記している。

(岡田陽子=Infostand)