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車はスマホから呼び出すものに 配車アプリUberの野望

既存タクシーとのあつれき

 Uberがこれほど投資家の注目を集めるのは、同社が“変革者”あるいは“破壊者”という見方があるからだ。既存業界の秩序を壊し、イノベーションで新たなビジネスを創出する企業との評価だが、半面、旧サービス側からの反発も巻き起こっている。

 どこの国でも、都市のタクシー業界は強い規制がある。ユーザーの利便性のため、統一的な料金体系や、車両・運転手の認可・登録制度があり、許可車両の上限台数が設けられることも珍しくない。日本でも、一般のドライバーが報酬を得て客を運ぶのは「白タク」という違法行為だ。Uberの仕組みはまさにこの白タクに当たる。

 Uberは米国でも当初、“無許可タクシー”の疑いで業務停止の処分を受けることあった。だが、ほとんどの州で多少の条件付きながら業務を継続してきた。イノベーションを重んじ、利用者の選択肢をつくるべきという当局の判断の結果である。

 しかし、厳しい反応を見せている国も少なくない。今年6月には、欧州のタクシー運転手が一斉に抗議のストライキを実施。ロンドン、パリ、ベルリンなど各都市で、Uberへの規制を求めた。都市当局も、それぞれの法・条例を検討し、ベルリンやソウルのようにサービス禁止を決める都市も出ている。事故を起こした場合の責任や補償の問題を指摘することも多い。

(行宮翔太=Infostand)