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DockerがVMwareを置き換える? 普及に向けてエコシステムが加速

共通解はDockerの普及

 これらの3つの発表は同時で、いずれも8月13日だった。特にイベントの日程に合わせたというわけではなく、Dockerまわりの取り組みが活発になっていることを示しているだろう。Dockerを普及させ、現場で使いやすくするための取り組みだ。

 Panamaxは、テンプレートを利用することで、クラウドでのDockerの構築と管理を容易にすると期待されている。開発したAppFogの創業者、Lucas Carlson氏はVenture Beatに対し、「(Panamaxは)DockerとLinuxコンテナ技術を手軽に利用できるようにするだろうし、Dockerベースのインフラにさまざまなアプリケーションを実装するノウハウが集まる場を構築できるだろう」と展望している。

 一見すると、Panamaxはアプリケーションを構築して動かすためのクラウドであるPaaSに見えるが、そうではないという。PaaSの場合は、オープンソースの全文検索Elasticsearchをサポートする必要があるが、Panamaxは“クラウドビルダー”であり、DockerのアプリケーションコンポーネントレポジトリであるDocker Hubを利用するという。

 こうした特徴から、PaaSをサーバー上にインストールするのにもPanamaxを利用できるという。なお、Carlson氏が創業したAppFogは、PaaSベンダーを目指したが、PaaSはビジネスとしては収益性が低かったようだ。

 Wired.comは、PanamaxがDockerと競合する可能性を指摘するが、Dockerのサービス担当バイスプレジデントのJames Turnbull氏は「ポイント・アンド・クリックで操作できる」「Dockerのフロントエンドとしてすばらしい」と賞賛している。開発したCarlson氏は、Dockerはエンドツーエンドのアプリケーションライフサイクルにフォーカスする一方で、CenturylinkはPanamaxを主として社内用に開発しておりプレミアムサービスとして提供する計画は現時点ではない、と述べている。

 Flockerはどうだろう。「Linuxコンテナ市場が成長する一方で、運用環境で利用できるデータサービスがなかった」とClusterHQは言う。PaaSソフトウェアのCloud Foundry技術ベンダーCloudCredoのCEOは「データベースなどをコンテナ内で動かすなどのデータ問題が解決されると、これまで閉じ込められていたコンテナへの需要が解き放たれるだろう」とFlockerの発表にコメントしている。

 CoreOSのQuay.io買収について、PC Worldは「GitHubのホスティングモデルの成功を追求しようと、CoreOSはオンラインレポジトリを立ち上げる。企業はこのレポジトリを利用してDockerコンテナの保存と共有が可能になる」と説明する。CoreOSは有料のプレミアムサポートを提供しており、プレミアムサポート顧客には社内で利用できるレポジトリソフトウェアを提供する。CoreOSのCEO、Alex Polvi氏は、狙いについて、レポジトリによりDockerのメリットの1つである再利用性をさらに強化できるとみているようだ。

 取り組みはそれぞれ異なるが、狙いはDockerの普及だ。「Docker関連の開発者や企業が増えれば、技術はさらに増殖する」とVenture Beatは述べている。

(岡田陽子=Infostand)