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Dropbox、Box、Amazon、法人向けクラウドストレージサービス

Zocaloが意味するもの

 Zocalo発表のニュースは「Dropbox、Boxなどのクラウドストレージサービスを殺すための暗殺者」(Tech Times)、「BoxとDropboxに注意警報、AmazonのZocaloがやってくる」(Re/Code)、「AmazonがBoxとDropboxキラーのサービスを発表」(Business Insider)などと報じられた。

 Re/Codeによると、「BoxやDropboxとの競合という見方」に対し、AWSの幹部は「勝者が独占する市場ではない。独自の機能を持つサービスが多数共存する余地は十分にある」と述べている。BoxのLevie氏も同じ見方で、Zocaloへのコメントを求められ、「クラウドコンテンツカテゴリはエキサイティングな時を迎えている。Amazonの参入は市場のチャンスがいかに大きいかを示すものだ」とGeekswireに述べている。なお、Dropboxはコメントを控えたというが、Dropboxは「Amazon S3」などAWSのクラウドサービスを多く利用しているユーザーでもある。

 MIT Technology Reviewは、規制順守のために世界各地にデータセンターを構えるなどBoxの対策を紹介しながら、「AWSが新しいオンライン企業が好んで利用するコンピューティング能力の源となっていることを考えると、Zocaloの脅威は、BoxよりもむしろGoogle、Microsoft、Salesforceへの方が大きいだろう」としている。Googleなどが電子メール、CRMなどの基本的なサービスラインアップを持っているためだ。

 Zocaloについては、もう1つAWSの拡大につながるという分析も出ている。

 AWSはこれまで、管理者や開発者向けにクラウドでリソースを提供してきたが、Zocaloは一般のビジネスユーザーをターゲットとしている。Re/Codeは「(Zocaloは)AWSにとって新しい方向性を示唆するものなのか?」と問う。Business Insiderも「ZocaloはAmazonがエンタープライズITのワンストップショップを目指していることを象徴している」とのアナリストJanakiram MSV氏のコメントを紹介している。

 活気づくエンタープライズ向けクラウドストレージ分野について、Gartnerは7月初め、「Enterprise File Synchronization and Sharing(EFSS)」として初めて調査レポートを出した。そこで、市場の成熟はITにメリットをもたらし、機能は今後標準化が進むと予想している。ベンダーは今後、モバイルとコラボレーションで差別化を図ることになるという。

岡田陽子=Infostand