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Chromebook対抗に乗り出すMicrosoft、「生産性とプラットフォーム戦略」

Windowsのシェア2割割れ、浮上する「Chromebook」対策

 クラウドの成果を持ち上げる一方で、Microsoftの幹部はつらい現実も認めている。MicrosoftのCOO、Kevin Turner氏はWPC中、Windowsのシェアが14%であると述べた。PCでは約90%を維持しているものの、モバイル端末の爆発的な普及によって「コンピューティングデバイス全体」ではMicrosoftのシェアは14%に落ち込んでいるのだ。

 モバイルではiOS、Androidが大きなシェアを持つ。Microsoftはここでは「Windows Phone」およびNokia、そして「Windows 8/8.1」およびSurfaceを持っている。だが、パートナー向けのWPCでスポットを当てたのは、既存のOEMパートナーを数多く抱えるノートPC分野だ。

 WPCではHewlett-Packard(HP)が199ドルの“Stream”PCというノートPCを発売する計画であることを明らかにした。HPはまた、年末に向けて7インチ、8インチ版のStreamPCを発売する予定で、こちらの価格は99ドル程度。ほかにも、Acerと東芝がともに250ドルを切るノートPCを発売する計画という。

 これらの低価格ノートのターゲットはGoogleのChromebookだ。The Vergeによると、Turner氏は「われわれにはChromebookに対抗できるバリュープロポジションがある」と述べた。Googleの「Chrome OS」を搭載したChromebookは、2011年5月にSamsungが第1号を発表して以来、Acer、HP、Dell、Lenovo、東芝などとOEMを増やし、学校など安価な端末のニーズを受けて少しずつ市場を形成している。OSは軽量で、アプリケーションはGoogleのサービスなどクラウド経由で提供されるものを利用。高速起動などの特徴を持つ。

 Chromebookと対比させたMicrosoftウォッチャーのPaul Thurrott氏はブログで、「MicrosoftのChromebookへの反撃(Microsoft's Chromebook Counterattack)」として、Chromebookとの戦いを分析した。Thurrott氏は、MicrosoftがWPCで利用したスライド中の「Windowsのバリュー」に列記されている「ネイティブとWebの両方のアプリが動く」「フルOffice」「デスクトップアプリケーション」などをまとめ、Windowsの強みを「リッチな機能」と表現する。

 一方で、こうした「リッチな機能を必要としている人がどのぐらいいるだろうか」と疑問を投げながら「価格で対抗する戦略は様子見だ」と結論を出すのは避けた。しかし、「残念ながら、Chromebookのシンプルさには匹敵しない」とも述べている。

 ZDNetは、「Microsoftは、たとえ利益が出なくとも、こうした製品を出し続けねばならない」と言う。対するGoogleが広告で利益を上げており、「同社の目的はGoogleのサービスを利用してもらうことであり、Chromebookはそのための“トロイの木馬”にすぎないのだ」と両社の違いを分析する。また「新しい世界では、ハードウェアは安価になり、クラウドプレイヤーは広告、電子商取引、サービスなどこれまでとは違う方法で収益を得なければならない」と指摘する。

(岡田陽子=Infostand)