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IoT規格争い始まる それぞれの思惑

メガベンダー不在の標準化団体AllSeenのチャンスは?

 IoTは実用化が始まっているが、冷蔵庫、空調などの家電をはじめとした“モノ”を活用するため、それぞれのための具体的なサービスを開発しなればならない。AllSeenは主要なチップ、OSに対応しており、標準フレームワークの提供によりメーカーと開発者に相互運用性のメリットを提供することを目指す。ReutersはAllJoynの狙いについて、早期に標準を打ち立てることで、ウェアラブルをはじめとしたガジェットや端末の開発を奨励する、と解説している。

 主要企業が集まって“標準化”の下に一大勢力を築く――。デファクトが重要な技術業界では、お馴染みのアプローチだ。

 ところが、アナリストのRob Enderle氏は、AllSeenに、SamsungやAppleなどの“メガベンダー”、さらにNestなども入っていない点を指摘。「残念ながら、市場を支配するベンダーがこのような標準団体に参加していない」とComputer Worldにコメントしている。このままでは今後のIoTサービスの相互運用性が保証されなくなるおそれがある。

 そうした状況を回避するために、Enderle氏は、(1)政府の介入などにより大手ベンダーが相互運用を強制される、(2)独占的立場ではなくなる、(3)消費者の強い要求――の3つのうち、少なくとも1つが起こる必要がある述べているということだ。

 一方でEnderle氏は、オープンソースの潜在性も認める。例えばビッグデータ分析で使われている「Apache Hadoop」はオープンソースのフレームワークだ。高性能コンピューティング(HPC)で優勢を誇っているのはLinuxだ。オープンソースの強みを生かしてIoT分野でAllSeenが独占的存在になる可能性も否定できない。こうしたことから、オープンソースソフトウェア管理のBlack Duck Softwareは、AllSeenが抱える最大の課題はむしろ、プロジェクトの統括や参加企業間の調整などガバナンスにあるとみる。

(岡田陽子=Infostand)