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あらゆる場所に広告を Googleが考えるモノのインターネット時代

モノのインターネットへ戦略すすめるGoogle

 だがGoogleの予想は一部を混乱させた。Googleは2014年1月、32億ドルを投じてNestを買収している。Nestはサーモスタット「Nest Thermostat」、煙探知機「Nest Protect」などを開発するスマートホームのベンチャー企業だ。ユーザーのスケジュールや好みから最適な温度を自動調節したり、スマートフォンを利用した遠隔からの操作などができる。

 買収当時、Googleがユーザーの温度に始まり、いつ帰宅したのかなどさまざまな情報を収集するのでは、とプライバシーへの懸念が持ち上がった。これに対し、Nestは「プライバシーポリシーは買収後も変更なし」と言い切った。

 SECの文書報道を受け、NestのCEO、Tony Fadell氏はRe/Codeに「NestはGoogleの他の事業からは独立した事業として運営している」と半ばあわてた格好で説明している。Googleとはマネジメントチーム、そしてブランドも社風も異なるとFadell氏は述べ、その例としてNestは広告・無料のGoogleとは異なり、有料サービスを持つことを挙げた。「広告を否定するわけではないが、Nestのユーザー体験に広告はそぐわないと思う」とFadell氏は述べ、スマートホーム広告の可能性を一応は否定した。

 なお、GoogleがSECに書類を提出したのは2013年12月、Nest買収はその後の2014年1月だった。

 しかし、Googleがこのところ、モバイルの先をにらんで動きを活発化させていることは明らかだ。GoogleのAndroidはスマートフォンで8割程度のシェアを持つが、GoogleはこのところAndroidをモノのインターネット向けに拡大している。

 1月、GoogleはOpen Automotive Alliance(OAA)を立ち上げた。車載でのAndroidの開発を進めるアライアンスで、Audi、GM、ホンダ、現代などが参加している。3月には「Android Wear」を発表、スマートウォッチなどウェアラブル向けAndroidを追求するイニシアティブとなり、LG、Motorolaらが参加している。そして、ウェアラブルのメガネ型コンピュータ「Google Glass」は、いよいよ年内に米国で一般提供を開始する予定だ。

 もちろん、この分野は誰もが狙う有望市場だ。一方でAndroidでの盟友ながら、対立する場面も出てきているSamsungは5月末、「Samsung Digital Health」としてウェアラブルとヘルスケア分野でオープンなソフトウェアとハードウェアリファレンス実装を提供することを発表した。ライバルAppleからもスマートホーム分野での製品や戦略発表があると予想されている。

(岡田陽子=Infostand)